タイトル |
乗用型4輪トラクタの省エネルギー性能評価試験方法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
研究期間 |
2011~2013 |
研究担当者 |
手島司
松尾陽介
高橋弘行
藤井桃子
清水一史
西川純
滝元弘樹
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発行年度 |
2013 |
要約 |
機関出力22~29kW(30~40PS)の乗用型4輪トラクタに適用して、30aロータリ耕うん作業時の燃費を算出する試験方法である。舗装路面上等ほ場外の試験で再現性良く取得できる各種燃費から推定できる。
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キーワード |
トラクタ、省エネルギー、燃費、ロータリ、耕うん、試験方法
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背景・ねらい |
近年、温室効果ガスの排出量減少に寄与する省エネルギー(以下「省エネ」)型の機械や装置へのニーズが高まっており、省エネ性能を評価する手法が確立あるいは提案されている分野が存在する一方で、乗用型トラクタ等農業機械の省エネ性能を型式間で比較し、客観的に評価する手法については確立されていない状況にある。 そこで、乗用型4輪トラクタ(以下「トラクタ」)によるロータリ耕うん作業時の燃費について、試験の再現性が難しいほ場試験ではなく、試験室内や舗装路面上での試験により再現性良く燃費を推定し、型式間の省エネ性能を比較・評価できる試験方法を作成する。また、農業機械の省エネ性能認証試験方法として採用されることを目的とする。
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成果の内容・特徴 |
- 本試験方法は、機関出力22~29kW(30~40PS)のトラクタに耕幅1.7~1.8mのロータリ作業機を装着して、フルスロットル、PTO1速、耕うんピッチ10~16cmの範囲、耕深12cm程度で、30aの面積を耕うんした時の燃費(L)を推定するためのものである。
- 30a耕うん作業は隣接耕うん(偶数行程、重複幅10cm)と行程端の180度旋回、枕地耕うん(3周、重複幅15cm)と区画4隅における90度旋回から成り(図1)、30a耕うん時の燃費(L)はそれらの耕うん燃費や旋回燃費を全て足し合わせたものとなる。
- 30a耕うん時の推定燃費(L)は、以下の通り算出する(図2)。
1)ほ場耕うん燃費(L/h)は、PTO負荷燃費、走行燃費、停止燃費から推定する。PTO負荷燃費は耕うん時の負荷(トラクタのほ場試験結果から得た耕うんピッチや耕幅に応じた負荷)を台上固定状態でPTO軸にかけて測定する。走行燃費は、ほ場走行に要する燃費を舗装路面上の走行燃費に係数(R走=1.08)をかけて換算する。 2)180度および90度旋回燃費は上記の走行燃費と同様に、舗装路面上の旋回燃費に係数(R180=1.08、R90=1.07)をかけて換算する。 3)これらの燃費に、走行速度から得られる耕うん時間や180度旋回数および90度旋回数を乗じることにより、30aの面積を耕うんした時の燃費(L)が求められる。 - 機関出力27kW(37PS)のトラクタを供試した例では、本試験方法による推定燃費と、ほ場での耕うん燃費や旋回燃費から算出した燃費との差は1.5~1.8%程度である(表)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:農業機械メーカー、農業関係団体
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:省エネ性能認証試験実施数12型式/年
- その他:本方法は一般社団法人日本農業機械化協会が実施する農業機械の省エネ性能認証試験方法に採用され、トラクタメーカー4社4型式の試験に用いられた(2013年度)。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2013/13_084.html
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カテゴリ |
機械化
省エネ・低コスト化
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