乗用トラクタおよび刈払機事故のための詳細調査票および分析手法

タイトル 乗用トラクタおよび刈払機事故のための詳細調査票および分析手法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター
研究期間 2011~2013
研究担当者 積栄
志藤博克
岡田俊輔
発行年度 2013
要約 乗用トラクタおよび刈払機事故について、事故要因につながる諸項目を見落としなく調査するための調査票と、記入後の調査票から事故要因を漏れなく抽出するための分析手法である。結果は要因毎の発生傾向の把握や対策による効果の推定に活用できる。
キーワード 乗用トラクタ、刈払機、農作業事故、事故調査、事故分析
背景・ねらい 労働災害の防止のため、各産業では事故の詳細な調査・分析手法が構築されているが、農作業事故についてはこれまで体系的な分析手法がなく、このため調査票も地域毎にばらつきがあるほか、多くが事故様態別、年齢別等の件数が把握できる程度の内容に留まる。そこで、農業機械による事故のうち死亡事故、負傷事故がそれぞれ最多とされる乗用トラクタおよび刈払機事故を対象に、事故要因につながる諸項目を見落としなく調査するための調査票と、記入後の調査票から事故要因を漏れなく抽出するための分析手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 詳細調査票および調査項目を図、表1に示す。調査票には各調査項目がA4サイズ用紙両面にまとめられ、現場で記載しやすい順に配置されている。本調査票により、調査すべき項目の統一が図られ、必要な項目を見落としなく調査できる。調査票および利用マニュアルは、刊行物のほか、生研センターウェブサイト「農作業安全情報センター」(http://www.naro.affrc.go.jp/org/brain/anzenweb/)でも公開している。
  2. 詳細分析手法は、他業種で用いられている分析手法(SHELモデル、Haddon Matrix)を基に、農業機械における事故要因を漏れなく抽出できるよう最適化したものである。事故要因を漏れなく抽出するため、縦軸で当事者および関係する各要素(安全管理、機械、環境、補助作業者等)、横軸で時系列(事故の発生前、発生時、事故後)に分割した分析表を用いている(表2)。分析表の各セルには事故要因があらかじめ記載されており、分析者は詳細調査票と分析表を合わせ見て、事故要因毎に該当する内容の有無とその数を確認、記入するだけで、各事故における事故要因の抽出が可能である。
  3. 分析表の各セルに配置した事故要因は、これまでの事故調査や機械の構造調査、研究結果等から想定されたものが記載されている。詳細調査票では、これらの事故要因の有無を推定するために必要なものを調査項目としている。
  4. 詳細分析手法により個々の事故調査結果から抽出された事故要因を集計することで、対象範囲(機種、事故形態、地域等)における事故要因毎の発生頻度が把握できる。この結果と国、自治体の統計データ(事故形態別の事故発生件数、機械の普及台数等)に対して既存の事故分析手法やリスクアセスメント手法(故障の木解析、R-Map等)を適用することで、事故要因毎の対策による効果の推定等が可能である。
  5. さらに、詳細調査項目および分析結果は、表計算ソフトウェア等でデータベース化することで、地域性や事故機の構造と事故内容の関連性等、様々な検討も可能になる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:都道府県、市町村、農業協同組合等
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国
  3. その他:7県の農作業事故調査で詳細調査票が採用されているほか、鳥取県、鹿児島県では分析結果を反映して内容を重点化した新たな啓発資料が活用されている。本成果の十分な活用には、担当者が対象事故における農業機械や農作業に関して十分な知識を有することや、関係機関の連携といった詳細調査実施体制の構築が望ましい。
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研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2013/13_086.html
カテゴリ 安全管理 データベース

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