ブラジル・アマゾンの森林炭素を測る

タイトル ブラジル・アマゾンの森林炭素を測る
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 梶本 卓也
野口 英之
大橋 伸太
佐藤 保
石塚 森吉
飯田 滋生
諏訪 錬平
八木橋 勉
大谷 達也
沢田 治雄
澤田 義人
神藤 恵司
遠藤 貴宏
発行年度 2014
要約 森林減少が進むブラジル・アマゾンの森林炭素量を把握するため、多点での地上調査やバイオマスの伐倒調査と、衛星データを活用した評価手法の開発により、広域でかつ高精度の炭素量分布マップを作成しました。
背景・ねらい ブラジル・アマゾンで進む森林減少や劣化に歯止めをかけるためには、森林の炭素蓄積量とその動態を、広域でしかも正確に把握する手法が求められています。しかし、広大なアマゾンでは、奥地も含めて森林の構造やバイオマスを調査した例はまだ限られています。この研究では、合計1,200 点を超えるプロットを設置して現地調査を行い、また約100 本の伐倒・伐根調査から樹木のバイオマスを計算する式を作成しました。その結果、流域によって平均的な森林炭素量が違うことを明らかにしました。さらに、衛星データを用いた評価手法を開発して、アマゾン全域の森林炭素量分布マップを、従来にない高い精度で作成することに成功しました。
成果の内容・特徴

減少するアマゾン熱帯林

アマゾンの森林は、1960 年代以降急速に減少し、最近でも毎年5,000km2 程度消失し続けています。途上国の森林減少・劣化によるCO2 排出の削減策(REDD)を進めて、森林破壊に歯止めをかけるためには、森林の炭素蓄積量を正確に把握する必要があります。しかし、広大なアマゾンでは、奥地も含めて多点で現地調査を行い、そうした実測データを踏まえて森林の炭素量を広域で評価した研究例はまったくありませんでした。

空白域を埋める地上調査

この研究プロジェクトでは、まず、できるだけ多くの森林で樹木の種類や直径、樹高などを測定するインベントリー(資源台帳)調査を行いました。その結果、従来ほとんど調査されてなかったアマゾナス州内の8地域で、合計1,200 点を超えるプロットのデータが収集できました(図1)。
また、約100 本の樹木を伐倒して幹や枝・葉、さらに地下部(根)も加えた樹木バイオマス(乾燥重量)を、直径や樹高から計算できる推定式を作成しました。各プロットのバイオマス(炭素量はこの約50%)の推定結果からは、例えば、ネグロ川流域ではアマゾン川本流域に比べて平均のバイオマスがやや小さいなど、地域によって森林の構造が違うことが明らかになりました(図2)。

リモートセンシング技術で広域評価

地上調査の結果を、広域での森林炭素量の評価につなげるには、衛星データ情報の活用が欠かせません。そこで、高頻度観測衛星データ(MODIS)の雲なし時系列データセットを整備したり、衛星レーザー計測(LiDAR)も組み合わせたMODIS の画素単位で炭素量推定の誤差(不確実性)を見積もる手法などを開発して、ブラジル・アマゾン全域を網羅した森林の炭素蓄積量分布図を作成しました(図3)。これまでに報告された類似のマップに比べると、多数の現地調査結果が反映されている分、とくにアマゾナス州については格段に推定精度が向上しました。

森林破壊の歯止めに貢献

研究の成果は、日本やブラジル両国で開催した公開講演会や多数のセミナーを通じて一般向けに発信しました。また、広域森林炭素分布図は、今後ブラジルの森林減少や劣化防止のキャンペーンなどに活用される予定です。

本研究は、科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)が実施する地球規模課題対応国際科学技術協力事業プロジェクト「アマゾンの森林における炭素動態の広域評価(略称CADAF)」の成果で、ブラジル国立環境研究所(INPA)、宇宙研究所(INPE)との共同研究で行われました。
図表1 236755-1.jpg
図表2 236755-2.jpg
図表3 236755-3.jpg
研究内容 http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2014/documents/p36-37.pdf
カテゴリ 乾燥 リモートセンシング

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