スギ・ヒノキのエリートツリーを開発

タイトル スギ・ヒノキのエリートツリーを開発
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 加藤 一隆
平岡 裕一郎
織部 雄一郎
久保田 正裕
倉本 哲嗣
発行年度 2014
要約 精英樹のF1検定林から、成長や材質に優れかつ雄花着花量も少ないエリートツリー(第2世代精英樹)を開発し、この中から特定母樹が指定されました。
背景・ねらい 第1世代精英樹の中でも優良なもの同士を交配して得られたF1 実生苗を植栽した検定林(育種集団林)において、成長や材質のデータを解析するとともに雄花着花量を評価した結果、成長や材質に優れかつ雄花着花量も少ない第2世代精英樹(エリートツリー)をスギで122系統、ヒノキで50 系統開発しました。また、優良な種苗を生産するための種穂の採取に適する樹木として農林水産大臣が指定する「特定母樹」に、これまで開発したエリートツリーの中から47 系統が指定されました。
成果の内容・特徴

精英樹選抜から集団林の造成へ

昭和29 年度から、森林資源の量的、質的向上を目指すため、林木の遺伝的改良を目的として精英樹選抜育種事業を行い、全国の人工林(一部は天然林)から成長がよく素性のいい個体(第1世代精英樹)を約9,000 系統(スギでは約3,600 系統、ヒノキ約940 系統など)選抜しました。一方、当該精英樹が遺伝的に優れているかどうか評価を行うため、さし木またはつぎ木によって精英樹クローンを増殖して採種穂園を造成し、ここから得られた実生苗やさし木苗を利用して約2,000 か所の検定林を造成しました。検定林では、成長形質等の調査を行い、その結果から成長等の形質の成績が上位である優良な精英樹を特定し、これらの優良な精英樹を親とするさらに優れた次世代の精英樹を創出するため、昭和55 年度から育種集団林造成プロジェクトを開始しました。

エリートツリーの選抜

育種集団林造成プロジェクトでは、まず優良な精英樹間の人工交配を行い、種子採集、まき付け、そして育苗し、これらの実生苗を植栽して育種集団林を造成しました(図1)。次に、植栽から10 年~ 20 年経った育種集団林において、成長形質、材の剛性、幹の通直性が優良な個体を選抜後、雄花着花量も調査し、着花量が少ない個体をエリートツリーとして選抜しました(図2)。平成24年度までに関東育種基本区でスギ50 系統、関西育種基本区でスギ38 系統、九州育種基本区でスギ58 系統を開発していましたが、平成25 年度には新たに東北育種基本区でスギ9 系統、関東育種基本区でスギ25 系統、関西育種基本区でスギ38 系統及びヒノキ27 系統、九州育種基本区でスギ50 系統及びヒノキ23 系統を開発しました(図3)。
試算によれば、エリートツリー採種園・採穂園の種穂から生産した苗木を植栽した場合、成長に伴う材積の増加速度がこれまでの品種より大きいと推定され、実生苗では40 年弱、さし木苗では約30 年で従来種苗での伐期である50 年とほぼ同程度の林分材積に達します。したがって、林分当たりのCO2 吸収量の大幅な増加によって地球温暖化対策に貢献することができると考えています。

特定母樹への申請

改正された森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法において、特に優良な種苗を生産するための種穂の採取に適する樹木として農林水産大臣が指定する「特定母樹」に、今まで開発されたエリートツリーの中から47系統を申請し指定されました(図2)。これらの特定母樹は、今後のCO2 の森林吸収源対策に資する新たな造林種苗の母樹としての役割を担うことになります。

本研究は、課題名「国土・環境の保全に資する品種の開発」による成果です。
図表1 236765-1.jpg
図表2 236765-2.jpg
図表3 236765-3.jpg
研究内容 http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2014/documents/p56-57.pdf
カテゴリ 育種 育苗 温暖化対策 品種

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