三陸沿岸域で起こる異常冷水現象の予測

タイトル 三陸沿岸域で起こる異常冷水現象の予測
担当機関 (独)水産総合研究センター 東北区水産研究所
研究期間 2012~2017
研究担当者 和川 拓
筧 茂穂
黒田 寛
山野目健
児玉琢哉
内記公明
伊藤進一
発行年度 2014
要約 三陸沿岸域における自動水温モニタリング資料を用い、養殖ワカメの品質に影響する、冬季に発生する異常冷水現象の成因とその予測可能性について調べた。冬季の三陸沿岸域の水温と、その1ヶ月前の北海道沿岸域の流速(親潮の流速)の間の負の相関関係(相関係数r=-0.74)を明らかにし、1ヶ月前の親潮の強さの情報により三陸沿岸域の水温の急激な変化を予測できる可能性を示した。
背景・ねらい  三陸の海は、太平洋からは親潮と呼ばれる冷たい海流が、津軽海峡からは津軽暖流と呼ばれる暖かい海流が流れ込むため(図1)、水温や栄養塩濃度などの海洋環境が急激に変化する。水温や栄養塩濃度はワカメなどの養殖物の品質に影響する。海洋環境の急激な変化を事前に予測する新しい技術を開発できれば、養殖物の品質低下による被害を軽減し、東日本大震災で大きな被害を受けた三陸の養殖業の復旧や復興に寄与しうる。
成果の内容・特徴  共同研究機関である岩手県水産技術センターは20年間近くもの長い期間に渡って沿岸の自動水温モニタリング(図1の+印)を続けている。

 図2の赤線は、ワカメが成長する時期である2月前半の山田湾(図1の赤色+印)の水温の年変化を示す。2006年の水温が最も低く、4℃近くまで下がっていた。このときは、実際にワカメの品質が下がる被害などが起こり、問題となった。

 図2の青線は北海道の近く(図1の青色の線上)の、1月前半の親潮の流速の年変化を示す。近年、人工衛星の海面高度計による最先端の観測技術により、このような沖合いの流速をモニタリングすることが可能となった。水温が最も低かった2006年は、その1ヶ月前の親潮の流速が最も強く、逆に水温が最も高かった2000年は、親潮の流速が弱かった。すべての年について調べてみると、2月の水温と1か月前の(1月の)親潮流速の間には有意な負の相関関係(相関係数r=-0.74)があった。
成果の活用面・留意点  1ヶ月前の親潮の強さの情報により三陸の海の急激な変化を予測して、養殖業の復旧、復興、発展に貢献することを目指す。
図表1 236802-1.jpg
図表2 236802-2.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4847&YEAR=2014
カテゴリ モニタリング

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