タイトル | 仙台湾における食物網構造の時空間的変化 |
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担当機関 | (独)水産総合研究センター 東北区水産研究所 |
研究期間 | 2011 |
研究担当者 |
冨樫博幸 栗田豊 |
発行年度 | 2014 |
要約 | 原発事故により放出された放射性セシウム(以下、Cs)の移行経路の解明には、食物網構造を詳細に把握する必要がある。そこで本研究では、仙台湾の魚類群集を対象に、その炭素・窒素安定同位体比を測定し、仙台湾の食物網構造を解明した。その結果、仙台湾の食物網構造は、時空間的に変化していることが分かった。 |
背景・ねらい | 東日本大震災より3年以上経過し、多くの海産生物のCs濃度は減少傾向にある。この事実は、時間軸に沿って膨大な試料を測定してきたモニタリング調査の多大な功績である。しかし今後、どのような魚種で、またどのようにCs濃度が減衰していくのかを理解・予測するためには、食物連鎖(餌資源)を考慮した考察が必要である。そこで本研究では、安定同位体比を用いて仙台湾の食物網構造を明らかにすることを目的に調査を行った。 |
成果の内容・特徴 | 2011年6月より2013年11月までの期間、仙台湾の北部(E35、E55、E80; 数字は水深を表す)、及び南部(F30、F45、F60)の2地域において、それぞれ3クラスの水深を対象に小底用船による30分の曳網調査を行った(図1)。得られた試料は、胃内容を観察し食性を明らかにした。また、魚種毎の炭素・窒素安定同位体比の時空間的変化を明らかにするため、調査地域、水深、及び調査日をそれぞれ種でネストした分散分析を行った。その結果、炭素・窒素安定同位体比の値はいずれも有意に異なっていた(表1)。例えば、プランクトンを主な餌資源とする魚(e.g., カタクチイワシ)の炭素・窒素安定同位体比は、他の食性グループよりも低い値を示していた(図2、図3)。これらの結果は、仙台湾の食物網構造が時空間的に異なっていることを意味している。 |
成果の活用面・留意点 | 次年度以降も仙台湾における生態系調査を継続するとともに、Cs濃度のデータと照合させ、食物連鎖を介したCsの移行経路の解明に役立てる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4809&YEAR=2014 |
カテゴリ | モニタリング |