2011~2013年の日本海クロマグロ産卵場における仔魚の生物環境

タイトル 2011~2013年の日本海クロマグロ産卵場における仔魚の生物環境
担当機関 (独)水産総合研究センター 日本海区水産研究所
研究期間 2011~2014
研究担当者 森本晴之
井口直樹
児玉武稔
発行年度 2014
要約 水産庁事業によりクロマグロの産卵場の一つである日本海において2011~2013年夏季に大規模なクロマグロ仔魚分布・海洋環境調査を実施した結果、仔魚はParacalanus 属及びOithona 属カイアシ類のノープリウス幼生を摂餌することが判明し、仔魚採集尾数はそれら餌生物量が多い年に多く、仔魚が経験した生物環境履歴が生残に影響することが示唆された。
背景・ねらい 太平洋クロマグロの主な産卵場は、南西諸島周辺と日本海であることが知られているが、特に日本海においては産卵場の正確な場所と海洋環境についての情報が乏しい。日本海において2011~2013年夏季に実施したクロマグロ仔魚分布調査では、隠岐~能登半島の沖合域を中心に仔魚が各年それぞれ26、2、37個体(全長3.0~8.1mm)採集され、当海域が産卵場と推定された(水産庁 2014、図1)。本研究では、この調査で得たデータに基づき仔魚の餌生物を明らかにし、生物環境と各年の仔魚採集尾数との関係について比較検討することを目的とした。
成果の内容・特徴 2011~2013年7月、隠岐~能登半島の海域に49定点を設定し(図2)、クロマグロ仔魚と動物プランクトンの分布調査を実施した。クロマグロ仔魚はリングネットの表層水平曳により採集し、胃内容物の分析に供した。動物プランクトンの幼生及び成体を改良型ノルパックネットの鉛直曳によって採集し、属・種査定を行った。

クロマグロ仔魚の胃内容物は、主にカイアシ類のカラヌス目Paracalanus type 及びキクロプス目Oithona typeのノープリウス幼生であった。主にポエキロストム目カイアシ類幼生を摂餌する南西諸島海域のクロマグロ仔魚と異なる食性をもつことが示唆された。調査海域のカイアシ類ノープリウス幼生の個体数割合はParacalanus type 、Oithona type 及びMicrosetella typeがそれぞれ21~28%、30~45%、21~44%を占めたが、仔魚は前2者のみを摂餌し、Microsetella typeを摂餌しなかった。調査海域におけるカイアシ類ノープリウス幼生の現存量は沿岸域に比べ沖合域で多い傾向が認められた(図3)。仔魚採集尾数が最も少なかった2012年は2011年及び2013年と比べて、餌生物2種ノープリウス幼生の平均現存量が有意に少なかった(P<0.05、Tukey-多重検定)(図4)。以上のことから、日本海におけるクロマグロ産卵場の生物環境について、2012年は2011年及び2013年に比べて餌が少ないことで特徴づけられた。
成果の活用面・留意点 今回収集した生物環境データから明らかになった仔魚が経験した生物環境履歴の違いは、日本海における2011~2013年のクロマグロ加入量変動解明のための素材となる。
図表1 236816-1.jpg
図表2 236816-2.jpg
図表3 236816-3.jpg
図表4 236816-4.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4792&YEAR=2014
カテゴリ 環境データ

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