刺網で漁獲されたキジハタの再放流効果の検証

タイトル 刺網で漁獲されたキジハタの再放流効果の検証
担当機関 山口県水産研究センター
研究期間 2012~2013
研究担当者 南部智秀
発行年度 2014
要約 資源増大および漁業所得の向上を目的とした採捕制限を設定するため、刺網で漁獲されて損傷を受けた全長30cm未満の小型キジハタについて、再放流の効果を検証した。その結果、小型キジハタの損傷は1ヶ月後には回復し、その98.3%が再放流後の生残を期待できる結果となった。
背景・ねらい キジハタは市場価値が高いため、漁業者からの資源増大要望が強い魚種である。近年、山口県では種苗生産の事業化や放流技術開発、漁場整備など、積極的な資源増大への取り組みを進めているが、資源量の増大に伴い、不合理漁獲された経済価値の低い未成熟の小型魚が多く水揚げされている状況にあった。その対策として、採捕制限(全長30cm未満の小型魚の採捕禁止)の設定を検討した。これら小型魚は主に刺網で漁獲され、魚体の損傷が大きいことから漁業者は再放流後の生残について強い疑念を抱いていた。そこで、漁獲により損傷を受けた小型魚の生残および回復状況を調査し、再放流の効果を検証した。
成果の内容・特徴 ・小型魚は揚網時に既にその22.7%が死亡していることがわかった(図1)。

・揚網時に生きている小型魚を、受けた傷の程度によりレベル1(軽度)~3(重度)までの3段階に識別し(図2)、1ヶ月間の飼育試験で生残率を調査したところ、レベル1および2は100%、レベル3は73.1%となった。また、全ての生残個体は表皮が再生して傷はほとんど治癒していることがわかった。

・揚網時に生きている小型魚のうち93.5%はレベル1と2であり(図3)、先述の生残率調査の結果から、これらは全て再放流後の生残が期待できると思われた。

・レベル3においても、その73.1%は再放流後の生残が期待できることから、つまり、揚網時に生きている小型魚を再放流すれば、その98.3%はその後の生残を期待できる結果となった。
成果の活用面・留意点 ・本調査結果は採捕制限の設定に向けた現場調整において、漁業者の理解を得るための材料として活用され、その成果として平成25年10月1日に山口県海区漁業調整委員会指示(山口県海域における全長30cm未満のキジハタの採捕禁止)が発出された。

図表1 236819-1.jpg
図表2 236819-2.jpg
図表3 236819-3.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4815&YEAR=2014
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