大阪湾における形態別窒素の動態と播磨灘への栄養塩供給の把握

タイトル 大阪湾における形態別窒素の動態と播磨灘への栄養塩供給の把握
担当機関 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所
研究期間 2010~2014
研究担当者 中嶋昌紀
山本圭吾
佐野雅基
秋山諭
原田和宏
高木秀蔵
宮川昌志
上田幸男
駒井幸雄
阿保勝之
発行年度 2014
要約 養殖ノリの色落ちが頻発する東部瀬戸内海において、兵庫県、岡山県、香川県、徳島県、大阪工業大学、瀬戸内水研と共同で形態別窒素の動態について調査した。大阪湾奥部の栄養塩濃度は東部瀬戸内海の中で最も高く、ノリ漁期前半では播磨灘に栄養塩を供給していると考えられた。一方、漁期後半になると大阪湾西部と播磨灘の濃度勾配が小さくなり、播磨灘への栄養塩供給は低下していると考えられた。
背景・ねらい 1.瀬戸内海では水質総量規制により窒素・リンの排出が削減され、海域の栄養塩濃度は低下した。栄養塩濃度の低下(特に溶存態無機窒素)はノリ養殖に影響し、近年では色落ち被害が頻発している。

2.海水中の窒素は、形態から粒状態有機窒素(PON)、溶存態有機窒素(DON)、溶存態無機窒素(DIN)=栄養塩に分けられるが、DIN以外の窒素についてはこれまで定期的に測定されていない。

3.大阪湾における形態別窒素の動態を把握することでDINの変動要因を明らかにし、東部瀬戸内海の主要な養殖ノリ生産海域である播磨灘への栄養塩供給についても検討する。
成果の内容・特徴 1.東部瀬戸内海において2010年11月~2014年3月の間(大阪湾については2010年4月~)、形態別窒素を毎月測定した(図1)。

2.4ヵ年で平均した大阪湾における季節ごとの形態別窒素濃度を示した(図2)。大阪湾の表層水におけるDINは、年間を通じて湾奥部で最も高濃度であった。湾奥部のDINは春季から夏季にかけて活発な1次生産によってPONの形態(プランクトン)になり、一部はDONとなったと考えられた。秋季や冬季には1次生産が低調になり、湾奥部のDINは年間で最も高濃度になった。一方、播磨灘に接する湾西部の形態別窒素濃度は湾奥部に比べていずれも低濃度で、そのうちDONは年間を通じて安定して存在し、3つの形態の窒素の中で最も高かった。DINは秋季には年間で最も高濃度になるものの、冬季にはPONの増加によってDINの低下が始まっていた。

3.東部瀬戸内海におけるノリ漁期中のDINの変動を示した(図3)。ノリ漁期を通じて大阪湾奥部で最も高く、次に備讃瀬戸で12月に高かった。漁期前半はほとんどの海域で色落ち警戒濃度(3μM)を上回っていたが、後半には大阪湾奥部を除いて下回っていた。漁期前半では大阪湾から播磨灘に栄養塩を供給していると考えられたが、漁期後半になると大阪湾西部と播磨灘の濃度勾配が小さくなり、栄養塩供給はあまり期待できないと考えられた。
成果の活用面・留意点 現場観測により大阪湾における形態別窒素の動態と播磨灘への栄養塩供給を明らかにしたが、現象の定量的な理解には数値シミュレーションによる解析も行う必要がある。
図表1 236832-1.jpg
図表2 236832-2.jpg
図表3 236832-3.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4833&YEAR=2014
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