漁業者が実施可能なヒジキの増殖技術開発

タイトル 漁業者が実施可能なヒジキの増殖技術開発
担当機関 熊本県水産研究センター
研究期間 2013~2015
研究担当者 長山公紀
発行年度 2014
要約  漁業者が継続して実施できる、安価なヒジキ増殖手法の開発・指導を行った。ホームセンター等で安価で購入できるコンクリート板等の基板を用いた人工採苗を行い、海岸において1年間で最大120cmまで生長したことで、漁業者による「採苗~海岸への移植~生長」という一連の増殖サイクルが実証できた。
背景・ねらい  本県では有明海と八代海を中心に乾燥重量で約40トンのヒジキが漁獲されているが、近年は食の安心安全、産地表示の関連で国産ヒジキの需要が高まっており、価格は1,000円/kg程度と10年ほど前の2倍以上に上昇している。このような中、ヒジキ採藻を行う漁業者の数が増加しているため、限りあるヒジキの資源を減らさず、将来に渡って安定的に生産を行うために、漁業関係者が主体的に実施できる増殖技術の確立が必要となっている。
成果の内容・特徴  ヒジキの人工採苗による増殖は、まず、海域で成熟したヒジキの親株から受精卵を採取し、水槽内でコンクリート等の基板(図1)に付着させ、根が定着した後に基板にドリル等で穴をあけてボルトで海岸の岩に固定する方法で行った。

 水産研究センターでは、本手法で平成24年5月に陸上水槽で人工採苗して海岸に移植したところ、平成25年4月に最大120cm程度まで生長し、収量は湿重量で約28kg/m2となった。

 そこで平成25年度は、人工採苗から海岸への移植試験まで、漁業者を主体とした一連の実証試験を複数の地区で行った。試験を行うにあたり、採苗の講習会を開催するなど(図2)、漁業者自身が現場で試験に取り組める体制づくりを行った。その結果、天然のヒジキが植生している8地区で増殖試験が実施され、8地区のうち6地区で採苗が成功した。このうち3地区で順調に生育し(図3)、葉長が120cmまで生長した藻体もあり、周辺の天然ヒジキよりも良好な生長を示した。
成果の活用面・留意点  今回、複数地区の漁業者による「採苗~海岸への移植~生長」という一連の人工採苗による増殖サイクルが実現できたことにより、ヒジキの人工採苗による増殖事業は、市販のドリルや小型発電機があれば、漁業者自身で実施可能であることが明らかになった。一方で、真夏の干潮時の干出で新芽が乾燥に耐えきれずに枯死したり、巻貝や魚類による食害と思われる要因で新芽が消失する例も多く見られたことから、今後は移植時期及び場所といった移植方法の改良による生残率の向上が必要と考えられた。また、適切な採苗時期や受精卵放出の確認法などの課題が残っており、引き続き漁業者への指導を続けていく。
図表1 236837-1.jpg
図表2 236837-2.jpg
図表3 236837-3.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4840&YEAR=2014
カテゴリ 乾燥

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