タイトル | キンギョヘルペスウイルス病のワクチン開発に成功 |
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担当機関 | (独)水産総合研究センター 増養殖研究所 |
研究期間 | 2011~2015 |
研究担当者 |
伊東尚史 釜石 隆 |
発行年度 | 2014 |
要約 | キンギョ養殖業に大きな被害をもたらすヘルペスウイルス性造血器壊死症(以下、キンギョヘルペスウイルス病と略する)は、死亡率が80~100%になる場合も少なくないため、キンギョ養殖業界から1日も早い防除対策の要望が強く寄せられていた。当グループでは、世界で初めて本疾病原因ウイルスの安定的・継続培養に成功し、その培養ウイルスを用いて本疾病に有効な不活化ワクチンを作製した。 |
背景・ねらい | キンギョヘルペスウイルス病は平成4年に愛知県ではじめて確認されて以来、日本のキンギョ養殖場において多大な被害をもたらしている。本感染症による被害は日本だけでなく、キンギョでは米国、台湾、オーストラリア、ニュージーランド及び英国から、コイ科魚類ギベリオブナではハンガリー、チェコ及び中国から報告がある。このように、世界中のキンギョ養殖業及び天然水域のギベリオブナや養殖ギベリオブナに多大な被害をもたらしている病気にも関わらず、魚類株化細胞を用いて、本疾病原因ウイルスであるcyprinid herpesvirus 2 (以下、キンギョヘルペスウイルスと略する)を安定的に継続して培養することが出来ず、培養ウイルスを用いた感染実験やウイルス病予防に有効なワクチンの開発は全く進んでいなかった。このため、キンギョ養殖業者等から、その防除法の開発について強い要望があり、当グループでは研究を進めてきた。 |
成果の内容・特徴 | キンギョの鰭由来の魚類株化細胞を用いて、キンギョヘルペスウイルスの継続培養に成功した(図1)。また培養ウイルスを用いたキンギョへの人為的感染実験に成功した(図2)。さらに、キンギョヘルペスウイルスの培養ウイルス液にホルマリンを0.1%濃度で添加し作製した不活化ワクチンをキンギョへ腹腔内に注射し、その9日後に再度その不活化ワクチンを注射することにより、ウイルス感染後の生残率を57%に向上させることが出来た(ワクチン有効率57%)(図3)。このように本ワクチンの有効性が証明され、養殖場におけるキンギョヘルペスウイルス病の被害軽減に有効であることが分かった。本ワクチンを用いることにより、ランチュウやエドニシキ等の高級キンギョにキンギョヘルペス病に対する抗病性を付与することができ、それらの安定的な生産・販売が可能になると考えられる。 |
成果の活用面・留意点 | 今後は、ワクチン効果のさらなる向上および有効期間の検討等、このワクチンの実用化の開発研究が重要である。また、本疾病による被害は米国、台湾、オーストラリア及び英国等でも発生していることから、将来的には世界中への普及も可能である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4746&YEAR=2014 |
カテゴリ | 病害虫 防除 |