タイトル | 感染状態のコイヘルペスウイルスを特異的に検出するPCR法の開発 |
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担当機関 | (独)水産総合研究センター 増養殖研究所 |
研究期間 | 2013~2013 |
研究担当者 |
河東康彦 湯浅啓 嶋原佳子 大迫典久 |
発行年度 | 2014 |
要約 | 宿主細胞に感染している状態のコイヘルペスウイルス(KHV)のみを特異的に検出するPCR法を開発した。このPCR法を用いればKHVが宿主に感染している証拠を示すことができるため、KHVの宿主域を特定する際に有用である。 |
背景・ねらい | KHV病はOIEのリスト疾病に指定されており、ニシキゴイ等の感受性魚種を輸出入する際には詳細な検査が求められている。一方で、KHVの宿主範囲は未だ議論中であり、輸出入時の防疫対象魚種を絞り切れていない。そこで、KHVの宿主範囲を明らかにするためのツールとして、KHVが魚に感染している証拠を示す方法の開発を目指した。 |
成果の内容・特徴 | ヘルペスウイルスはウイルス粒子内では直鎖状のゲノム構造をとっているが、宿主細胞内におけるゲノム複製時には直鎖状のゲノムが複数連結した構造(コンカテマー)をとることが知られている(図1)。このコンカテマーの連結部分をPCRで検出できれば、宿主細胞におけるウイルス複製の指標となり得ると考え、推定されるコンカテマーゲノムの連結部分を含む領域を増幅させるPCRプライマーを設計した(図1)。KHV感染4日後のCCB細胞から抽出したDNAを鋳型に、設計したプライマーセットでPCR(DR-PCR)を実施したところ、目的サイズのPCR増幅産物が認められた(図2)。PCR産物のダイレクトシーケンスを行い、KHVのコンカテマーゲノムを検出していることを確認した。このDR-PCRは、KHV感染細胞から抽出したDNAではPCR産物が認められるものの、KHV粒子のみを純化した場合にはPCR産物が認められなかった(図3)。以上の結果から、本研究で開発したDR-PCRは細胞内で複製中のKHVゲノムを特異的に検出するPCR法であると考えられた。 |
成果の活用面・留意点 | KHVの宿主域を検討する際、魚にKHVを接種して症状や死亡が認められないものの通常のPCRでは陽性となることがある。そういった場合、接種ウイルスを検出している可能性もあり、その魚種にKHVが感染しているかどうかを判断することは難しい。本研究で開発したDR-PCRは細胞内で複製中のKHVゲノムだけを検出できるため、本PCRで陽性の場合は宿主にKHVが感染している証拠となり得る。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4837&YEAR=2014 |
カテゴリ | 輸出 |