タイトル | 低魚粉飼料にて成長選抜したアマゴの成長改善効果 |
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担当機関 | (独)水産総合研究センター 増養殖研究所 |
研究期間 | 2011~2015 |
研究担当者 |
山本剛史 古板博文 奥 宏海 村下幸司 松成宏之 岡本宏之 |
発行年度 | 2014 |
要約 | 低魚粉(魚粉5%)飼料にて2世代に亘り成長選抜をしたアマゴから得られたF2稚魚に低魚粉飼料を与えたところ、選抜していない稚魚に同飼料を与えた場合より成長がかなり改善され、選抜していない稚魚に魚粉50%飼料を与えた場合と同等の成長を示した。この成長改善効果は、おもに低魚粉飼料に対する摂餌性の改善によると考えられた。 |
背景・ねらい | 魚粉の価格高騰と供給量の逼迫を受けて、養殖用飼料への魚粉配合率を大幅に削減せざるを得ない状況にあるが、低魚粉飼料においては大幅な飼料価格の低下が望めないばかりか、魚粉代替原料に含まれる生理阻害物質の影響や摂餌性の低下等により、タウリン等の栄養素を補給しても成長や飼料効率が低下する。このため、アマゴをモデルに選抜育種の手法を導入して低魚粉飼料を与えて成長の優れる個体を継代飼育することにより、低魚粉飼料を与えて成長の優れる家系が得られる可能性を検討した。 |
成果の内容・特徴 | 山梨アルビノ系と美杉系のアマゴを親として得られたアマゴ稚魚に、大豆油かすを主成分とする低魚粉飼料を約3ヶ月間与えて成長の優れた個体を選別するとともに(選抜群)、対照として魚粉飼料を与えて平均的な成長を示す個体を選別して(非選抜群)、それぞれ親魚まで養成して次世代を得た。この過程を2世代に亘って繰り返して得られたF2稚魚(図1)に低魚粉飼料と魚粉飼料を与えたところ、低魚粉飼料(アミノ酸添加)を与えた選抜群の成長は、同飼料を与えた非選抜群より優れ、魚粉飼料を与えた非選抜群と同等であった(図2)。選抜群では低魚粉飼料に対する摂餌率が非選抜群に比べて高い一方で(図3)、胆汁生理など大豆由来の生理阻害物質による異常はほとんど改善されなかったことから(図4)、低魚粉飼料を与えた選抜群の成長改善効果は、おもに摂餌性が改善されたことによると考えられた。 |
成果の活用面・留意点 | 低魚粉飼料による選抜育種に関する研究報告としては、2013年の米国によるニジマスに次いで2例目であるが、従来から通常飼料を用いて成長選抜を行っていた家系を親として使用している米国のニジマスに比べ、今回のアマゴにおける低魚粉飼料に対する成長改善効果は大きい。多くの養殖対象魚種において成長選抜が行われていないわが国では、低魚粉飼料を与えて育種を行うことで、かなりの成長改善効果が期待できるであろう。一方、今回のアマゴF2では大豆由来の生理阻害物質に対する抵抗性形質は選抜されていないため、さらなる成長と飼料効率の改善には、生理面を改善するための別の育種手法の導入が必要と考えられる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4891&YEAR=2014 |
カテゴリ | 育種 飼料効率 大豆 抵抗性 |