魚粉を使わない無魚粉エクストルーディッドペレット飼料の低コスト化試験

タイトル 魚粉を使わない無魚粉エクストルーディッドペレット飼料の低コスト化試験
担当機関 (独)水産総合研究センター 中央水産研究所
研究期間 2011~2013
研究担当者
発行年度 2014
要約 養魚用飼料の主要原料である魚粉が世界的に高騰し、わが国の養殖経営を大きく圧迫していることから、魚粉を使用しない飼料の開発は喫緊の課題である。昨年度は無魚粉EP飼料を中間サイズのブリに給餌して飼育試験を行い、魚粉主体の飼料と殆ど遜色なく飼育できることを実証した。今年度は無魚粉飼料の低コスト化をはかるとともに、成長が悪い場合は摂餌性の低下であることを明らかにした。
背景・ねらい 我が国では魚粉の大部分を輸入に頼っているため、魚粉の代替タンパク質源の研究が行われている。エクストルーディドペレット(EP)飼料は、消化吸収性や保存性に優れており、近年その利用が増加している。昨年度は、無魚粉EP飼料のブリでの成長は魚粉主体の飼料と遜色ない事を明らかにした。今年度は、無魚粉飼料の低コスト化をめざして各種の試作飼料を作成してブリに給餌した。
成果の内容・特徴 実験1:試作飼料は、魚粉を50%含有する対照区EP飼料(飼料6)と、対照区飼料の魚粉を他原料で代替した無魚粉EP飼料として3種類を試作した。魚粉含有量が低下するとブリでは摂餌量が低下するとされているため、無魚粉EP飼料には摂餌性を高めるために嗜好性物質(カツオペプチド)を添加した。飼料12は植物性の濃縮大豆タンパクを主体とした。飼料13は動物性原料として廉価なチキンミールを主体とした。飼料14は飼料12の組成から濃縮大豆タンパクを減らし、廉価なコーングルテンミールを増やすとともに、パーム油を利用した。ブリは人工生産の体重1000gを用い、4m角×深さ4mの海上生簀4台に各55尾ずつ収容し、約3ヶ月間飼育したところ、無魚粉3区ともに対照区と比べて成長が遅く(図1)、特に低価格な飼料13および14でブリへの嗜好性が減少(図2)することが明らかとなった。以上から、低コスト飼料では嗜好性物質が重要であると考えられた。

実験2:飼料14の低コスト飼料の成長が劣る原因を探るための試験を行った。飼料17は飼料14からパーム油を除いた。飼料18は飼料17の組成の植物性原料をすべて濃縮大豆タンパクに代えた。飼料19は飼料17と組成は同じとし、より効果の高い嗜好性物質として、液化魚腸液から嗜好性画分をカラムで分けた分画液も添加した(図3)。これらの飼料は魚粉区と比較して約2割のコストを削減できた(図4)。供試魚は天然ブリ(体重670g)で同様の海上生簀4台に各25尾ずつ収容し、約3ヶ月間飼育した。平均体重は対照区と有意差は見られなかった(P>0.05)。増肉計数は魚粉区と比較して無魚粉EP飼料は高い値を示した。以上から、今回試作した低コストの無魚粉EP飼料は、増肉係数は魚粉区よりも高いものの、成長に関しては魚粉主体のEP飼料と遜色ないことが明らかになった。
成果の活用面・留意点 魚粉を使わない無魚粉飼料を用いて、ブリ中間サイズでの飼育が実証できたことから、無魚粉飼料を新しい養殖用飼料のツールとして利用できる可能性を示した。2割コスト減の飼料を作成できた。
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図表4 236862-4.jpg
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図表6 236862-6.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4745&YEAR=2014
カテゴリ 経営管理 コスト 大豆 低コスト

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