タイトル | 冷解凍熟成ブリロインの開発 |
---|---|
担当機関 | 地方独立行政法人鳥取県産業技術センター |
研究期間 | 2012~2014 |
研究担当者 |
小谷幸敏 加藤愛 本多美恵 遠藤路子 |
発行年度 | 2014 |
要約 | ブリロインの凍結品(-30℃ブライン凍結後-40℃保管)と未凍結品を比較したところ、凍結品のほうが食味・香りにおいて高評価が得られた。醤油の刺身への付着量、醤油のグルタミン酸濃度、唾液の分泌量、刺身を噛んだときのエキスの放出量、エキスのイノシン酸濃度から、うま味強度を試算したところ、冷凍した方が高くなる傾向が見られた。また、色調保持には高真空包装が有効であった。 |
背景・ねらい | 冷凍品は未凍結の鮮魚に比べて品質が劣ると考えられていたが、クロマグロやイカといった刺身用素材においても、冷凍品のほうが、未凍結品より、生臭さが少なく、味が良という意見もあることから、その現象の把握と産業化への可能性について研究を行った。 |
成果の内容・特徴 | 1)口中で広がるおいしさを表現する方法として、圧縮度を変化させて出てくる遊離アミノ酸、イノシン酸濃度及び圧出量を測定する方法を考案し、硬直中のブリを原料にして、冷解凍の影響について調査したところ、圧出により出てくる成分濃度、量ともに、冷解凍したほうが、多いという現象を観察した。(図1) 2)冷解凍ブリロインに赤色灯を照射しながら官能評価を行うことを試みたところ、より正確な官能評価が行われる可能性が得られた。 3)硬直中のブリから作成したロインの凍結品(4ヶ月保管したもの)と未凍結品(凍結品とは異なる個体)を同時に刺身として官能評価したところ、-40℃保管(4ヶ月)したものは、未凍結品に比べても食味・香りが高いという評価が得られた。(表1) 4)刺身として食べたときのおいしさの指標を醤油の刺身への付着量、醤油のグルタミン酸濃度、唾液の分泌量、刺身を噛んだときのエキスの放出量、エキスのイノシン酸濃度からうま味強度を試算したところ、ブリを冷解凍した方が生鮮魚より、うま味強度が高くなった。(表2)この現象が、冷解凍品のほうがおいしいと感じられる原因となっている可能性があり、これは、未凍結低温領域で起こる熟成に類似していることから、筆者らはこれを冷解凍熟成新鮮魚と命名した。 5)ブリロイン冷凍保管中の色調保持のために、高真空状態で包装、-30℃ブライン凍結、-40℃保管を行ったところ、従来の真空包装に比べて顕著な色調保持効果が見られた。(図2) |
成果の活用面・留意点 | 刺身の美味しさを、圧出エキスの量や成分の濃度等からうま味強度を試算したが、まだ不確実な点が多いため、今後、官能検査や成分測定数を増やして精度を高めたいと考えている。冷解凍熟成は限られた条件でのみ発現するものであり、魚種や鮮度、凍結速度や保管温度、解凍方法などの条件を細やかに設定する必要があるが、地域の旬の原料を用いた、美味しい新鮮魚の提供が年間を通じて提供出来る技術になると思われる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4918&YEAR=2014 |
カテゴリ | 良食味 |