携帯電話を活用した病害虫広域調査システムの開発

タイトル 携帯電話を活用した病害虫広域調査システムの開発
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間
研究担当者 山中武彦
近藤洋史
発行年度 2014
要約 広域に発生する病害虫を効果的に管理するため、調査に参加する複数県の調査員から携帯電話を使ってデータを効率的に収集し、それに基づく被害予測をリアルタイムに関係者間で共有・閲覧できるシステムを開発しました。
背景・ねらい これまで、広域病害虫の被害調査を行って防除対策を立てるためには、各県の担当者による現地調査とGPSによる位置情報の取得、広域にわたるデータの取りまとめ、統計専門家による被害の解析、会議等での関係者への情報の伝達など、多大な労力と時間を要しました。そこで、これらの作業を簡便化し、広域病害虫防除の効率化を図るため、携帯電話を利用して広域に発生する病害虫の調査データを各県担当者から電子的に収集し、専門家の手を煩わせることなく、自動化された統計モデルを使って次年度の被害予測を行い、関係者間で即座に共有できるシステムを開発しました。
成果の内容・特徴 GPS 内蔵の汎用の携帯電話から被害写真を送信するだけで、データが収集・管理され、リアルタイムで被害予測を閲覧できる病害虫広域調査システムを開発しました(図1)。このシステムは、市販の携帯メール解析ソフト(ケータイフォトシステム® (株)富士通 FIP)に、前年の被害からの距離を勘案した回帰分析を行う統計予測モジュールと、データの修正や予測結果の閲覧ができる管理用モジュールを組み合わせて統合したものです。

 具体的な例として、日本各地で問題になっているナラ類の集団枯損の調査システムを紹介します。各県の防除担当者は、自県内の被害を調査して、その被害写真を本システムの調査用アドレスに送信します。写真には携帯電話に内蔵されたGPSによって位置情報を埋め込むことができます。担当者は、必要に応じて送信した写真のデータを修正したり、写真のない被害データのみを追加したりできます。システムに装備された統計予測モジュールはそれらのデータに基づいて次年度の被害予測を自動生成します。データの登録から予測まで、ほとんど一瞬で行われます。森林被害の予測は多くの個人情報を含むため、予測結果は一般には公開されていませんが、防除担当者と行政部門などの防除意思決定機関の間でもリアルタイムで予測結果を共有できます(図2)。

 このシステムは、広域病害虫の被害実態の把握や予測を効果的に実行し、調査にかかる多くの労力と時間、コストを削減します。今後、様々な害虫に対して被害拡大予測モデルが統計的に作成された場合、このシステムを利用した調査の簡略化が期待されます。

本研究は農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業「広葉樹資源の有効利用を目指したナラ枯れの低コスト防除技術の開発 (課題番号24030)」により実施した。
図表1 236892-1.jpg
図表2 236892-2.jpg
研究内容 http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result31/result31_32.html
カテゴリ 病害虫 害虫 コスト GPS 低コスト防除技術 病害虫防除 防除

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