タイトル |
稲発酵粗飼料(稲WCS)を用いたバイオエタノールと家畜飼料の同時生産 |
担当機関 |
(独)農業環境技術研究所 |
研究期間 |
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研究担当者 |
堀田光生
北本宏子
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発行年度 |
2014 |
要約 |
稲発酵粗飼料(稲ホールクロップサイレージ:稲WCS)を作る過程を利用して、バイオエタノールを省力的かつ大量にロールベール内で生産する技術を開発しました。
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背景・ねらい |
資源循環型社会の構築のため、低コストで効率的に植物バイオマスを利用できる技術が世界的に注目されています。農環研では、飼料用作物のロールベールを用いた省エネ型エタノール生産技術の開発を行いました。農村地域において、従来の稲発酵粗飼料とほぼ同じ調製方法で、エタノールと家畜飼料を同時生産させます。
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成果の内容・特徴 |
- 農環研では、飼料用イネなどの非食用バイオマスを収穫後、貯蔵しながらエタノールを生産する「エタノール固体発酵法」を開発し、平成21年にプレスリリースしました。この技術を実用化するため、稲発酵粗飼料を作る工程で、バイオマス分解酵素とエタノール生産酵母を同時に加えて密封し、野外で温度管理をせずにエタノール発酵させました(図1)。大型処理施設が不要で、収穫地近くで行うことができる、省エネ型の生産技術です。3年間、複数の飼料イネ品種を用いて試験した結果、品種「リーフスター」では、試験開始6ヶ月後に(99.5%エタノール濃度換算で)乾物重量1 tあたり最大175 Lのエタノールが生産できました(図2)。
- ロールベール内に蓄積したエタノール(平均15.6 L/ロール)は、パイロット規模の蒸留装置を用いて最大9割程度(13.5 L)を回収できました。
- 貯蔵中にロールベールからエタノール発酵液が自然に漏れ出すことがわかりました。そこで、品種「たちすずか」を用いた試験では、漏れ出した発酵液を回収した結果、ロール1個あたり平均2.1 L のエタノールを更に得ることができました。
- エタノール回収後の残さは、飼料用イネから作られるサイレージとほぼ同程度の組成であり、通常の飼料としての利用が期待されます(表1)。
- 回収したエタノール溶液は、低濃度エタノール土壌還元消毒用の資材として用いる効果を検証中です。
- このエタノール生産技術により、飼料用イネなどのバイオマス資源を、農村地域において、様々な用途(土壌還元消毒用資材、家畜飼料、燃料など)に利用できる地域資源循環型システムの構築が期待されます(図3)。
本研究の一部は、日本学術振興会科学研究費助成事業「科研費(課題番号23580466)」(2011-2013)による成果です。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result31/result31_34.html
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カテゴリ |
温度管理
省エネ・低コスト化
飼料用作物
低コスト
品種
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