タイトル | 市民参加で都市近郊林を管理 |
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担当機関 | (独)森林総合研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
大石 康彦 井上 大成 林 典子 島田 和則 井上 真理子 |
発行年度 | 2015 |
要約 | 希少な野生生物が生息している場所であり、私たちの身近な自然環境ともなっている都市近郊林を、状況に応じて、市民が適切に管理していくためのポイントを冊子にまとめ、広く公開しました。 |
背景・ねらい | 都市近郊林は、野生生物が生息する奥山と人間の生活域である市街地の間に残された森林です。近年では、野生生物の生息地が狭まり、希少種が減少する一方、外来種が増加するといった生物相の変化が確認されています。この身近な自然である都市近郊林を「市民参加」で管理する事例を調査した結果、いくつかの解決すべき課題が明らかになりました。そこで、市民が参加して都市近郊林を管理する際の実効性や継続性を高めるために、管理に困ったときに役立つ手引き書を作成し、森林総合研究所のホームページ上で広く公開しました。 |
成果の内容・特徴 | 都市近郊林の今 都市近郊林の多くは、かつては農家などが燃料や肥料を採取する場として使われていましたが、化石燃料や化学肥料の普及によって利用されなくなりました。その後、都市化とともに分断・孤立し、小面積化が進んでいます。現在は、一部が公園などとして整備・利用される一方で、管理が行き届かず放置され、樹木の大径化、高齢化や過密化が進み、ヤブ化している所も少なくありません。野生動物の生息地としての質も低下し、東京都西部地域に孤立・残存している都市近郊林では、1996 年に12 カ所であったニホンリスの生息地が、2006 年には3 カ所に減少しました(図1)。 市民参加の管理の課題 都市近郊林を、自然体験の場など身近な自然としてとらえる市民も多く、市民がボランティアで森林管理に協力する例が増えています(図2)。市民参加の活動の対象は、都市公園や緑地保全地域が中心で、活動形態としては、施設管理の業務委託、公的施設の美化活動の他、自治体によるボランティア受入制度などがあります。その管理面積や参加者数は、まちまちです。しかし、そこでの活動の指針となるべき公的な管理計画は、形式的なものが多く、内容も十分ではありません。指導者の不足や、活動の判断基準の不備も問題であり、正確な生物相の調査などが困難なこともあります。 市民参加による都市近郊林管理の手引き こうした現状を踏まえ、市民が参加して都市近郊林を管理する際の実効性や継続性を高めるために、管理のための3 つの視点と7 つのポイント(図3)を整理するとともに、ササの繁茂状況など植物相の現状に応じた管理技術を整理して、冊子「都市近郊林管理の考え方-市民参加のための手引き-」にまとめました。この冊子は森林総合研究所ウエブサイトからダウンロードできます。 https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/chukiseika/documents/3rd-chuukiseika30.pdf |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
研究内容 | http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2015/documents/p10-11.pdf |
カテゴリ | 肥料 管理技術 植物相 |