タイトル | タワーヤーダを活かす中間サポートの作設技術 |
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担当機関 | (独)森林総合研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
上村 巧 伊藤 崇之 田中 良明 吉田 智佳史 佐々木 達也 中澤 昌彦 鈴木 秀典 陣川 雅樹 山﨑 敏彦 酒井 寿夫 北原 文章 |
発行年度 | 2015 |
要約 | タワーヤーダに中間サポートを組み合わせると地形の影響を克服してより遠くから木を集めることができます。その中間サポートの作設技術について取りまとめ、普及に向けた冊子を作成・配布し、WEBでも公開しました。 |
背景・ねらい | 急傾斜地で架線を使って切り倒した木を集めるタワーヤーダという機械では、架線の高さを上げ過ぎると効率が悪くなります。逆に低くすると、搬器や木が地面に当たって集めることができません。そこで、地形の凹凸に合わせて中間サポートを設置することで、より遠い場所から効率的に木を集めることが可能となります。タワーヤーダを活かすには、中間サポートを確実に設置する作設技術が不可欠です。プロジェクトでは、多くの種類がある中間サポートについて、使い勝手の良い方法を調査し、作設のポイントを冊子にまとめて配布しました。同時に、冊子の内容を森林総合研究所のホームページ上で公開して、成果の普及に努めました。 |
成果の内容・特徴 | タワーヤーダとは タワーヤーダは架線(ワイヤロープ)を張り上げるためのタワー(鉄柱)といくつかのウインチ(巻上機)で構成され、搬器を使って木を集める機械です(図1)。ロープウェイのように架線を張り、その架線をゴンドラのような搬器が走行して、切り倒した木のところまで行きます。搬器からは、吊り上げるためのフックが降りてきます。そのフックに切り倒した木を取り付けて土場まで引っ張ってくることができます(図2、3)。 中間サポートとは タワーヤーダを使って遠くから木を集めるためには、架線の垂れ下がりや地形の凹凸に合わせて中間サポートを設ける必要があります。ロープウェイでは、地形の変わり目に大きな鉄の支柱を立てますが、タワーヤーダでその役目を担うのが中間サポートです。 中間サポートは、タワーヤーダの架線を途中で持ち上げて高さを確保するために、林内に残っている木を支持木として利用し、中間支持金具、控索(ひかえさく)(支持木を支えるロープ)、取り付け器具等を用いて作ります(図4、5)。オーストリアの架線技術の解説書(文献)では、中間サポートに関する技術に多くのページが割かれています。しかし、国内の技術書や教本には、細かな架設手順や注意点についてはほとんど記載がありません。このプロジェクトでは、タワーヤーダで先進的な取り組みを行っている香美森林組合の技術員班長の体験をもとに、実際に使い勝手が良い中間サポート4 種類(図6)の架設手順と注意点、作業のポイントを調査し、効率的にタワーヤーダを作設できるようにまとめました。 4 種類の中間サポート 中間サポートは、架線と支持木との距離や架線を持ち上げたい高さによって4 種類から選択します。一般的に、I 型を除いて形が単純であるほど必要な機材が少なく、作設が早くできる特徴があります。また、木に登り高いところに機材を取り付ける必要があるか否かも作設時間に大きく影響します。今回作成した冊子では、それぞれの制約や注意点を踏まえつつ、作設の手順を図解しました。一方、力のかかり方や強度が十分かどうかを判断するための知識や、省力化が可能な控索の張り方についても解説していますので広く活用していただけると思います。なお、冊子の内容は森林総合研究所のweb ページで公開しています。 http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/chukiseika/3rdchuukiseika20.html 本研究は、独立行政法人森林総合研究所交付金プロジェクト「豪雨・急傾斜地帯における低撹乱型人工林管理技術の開発」による成果です。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
図表6 | ![]() |
研究内容 | http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2015/documents/p12-13.pdf |
カテゴリ | 管理技術 傾斜地 省力化 |