タイトル | 森林減少と劣化を防ぎ、温暖化を防止する |
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担当機関 | (独)森林総合研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
平田 泰雅 鳥山 淳平 門田 有佳子 ルイス・アルベルト・イスワイラス 齊藤 昌宏 新山 馨 清野 嘉之 佐藤 保 伊藤 江利子 鷹尾 元 齋藤 英樹 高橋 正義 松浦 俊也 大谷 達也 |
発行年度 | 2015 |
要約 | 発展途上国での森林減少と森林劣化による二酸化炭素の排出量を推定するため、リモートセンシングと地上調査を組み合わせて、国レベルでの森林の炭素蓄積量の変化を精度良く把握する手法を開発しました。 |
背景・ねらい | REDD プラス※は、発展途上国における森林の減少や劣化をふせぎ二酸化炭素の排出を削減する取り組みの成果に応じてクレジットを与える仕組みです。そこで、熱帯林を対象として、衛星データから推定した森林タイプ別の面積と、地上調査によって求めたそれぞれの森林タイプの単位面積当たりの平均炭素蓄積量とを掛け合わせて国レベルでの森林炭素蓄積量を算定する手法を開発しました。その中で、衛星データ利用を妨げる雲や季節性の問題を軽減する手法を開発し、地域の森林タイプに応じた推定式を作成し、炭素蓄積量の推定精度を向上させることができました。 ※REDD プラス 「REDD」はReducing Emission from Deforestation and Forest Degradation in Developing Countries (途上国における森林減少・劣化からの排出の削減) の略称。さらに、森林保全・持続可能な森林経営・炭素吸収の強化を加えて「REDD プラス」と呼ばれる。 |
成果の内容・特徴 | REDD プラスに向けたモニタリング 発展途上国での森林の減少や劣化による二酸化炭素の排出は、地球温暖化の大きな要因となっており、この排出を削減するため、REDD プラスと呼ばれる国際的な取り組みが進められています。REDD プラスは、国の森林の減少や劣化防止の取り組みの成果に応じてクレジットを与えるため、国レベルでの森林炭素蓄積量の変化を明らかにする必要があります。そこで、熱帯雨林(半島マレーシア)、熱帯季節林(カンボジア)、乾燥林(パラグアイ)を対象として、国レベルでの森林の炭素蓄積量とその変化を把握する手法を開発しました(図1)。 森林タイプ別面積の推定 国レベルで森林面積をタイプ別に推定するには、衛星画像の利用が有効です。ただ、宇宙からの広域観測では、どうしても画像のどこかで雲に影響を受けます。特に熱帯雨林ではその影響が顕著です。そこで、大量のLandsat 衛星画像を用い、画素ごとに雲のない時の反射率の変化を分析して雲の下の反射率を推定し、雲のない状態の画像を作成する手法を開発しました(図2)。 一方、熱帯季節林が生育する地域では、雨季と乾季があり、雲の少ない衛星画像を取得できる乾季には、乾燥の進行とともに落葉が進み、森林タイプの誤分類を生じさせます。そこで、各森林タイプの太陽光の反射パターンが乾季の進行とともにどのように変化するかを調べ、その特徴を利用して森林タイプを精度よく分類できるようにしました(図3)。 これらの手法を用い、また過去に撮影された衛星画像を利用することで、国レベルでのタイプ別の森林面積およびその面積変化を推定することができました(図4)。 アロメトリ式の開発と森林炭素蓄積量の推定 樹木の炭素蓄積量は、胸高直径※、あるいは胸高直径と樹高を変数とした推定式(アロメトリ式)を用いて計算する必要があります。しかし、熱帯季節林、乾燥林に対するアロメトリ式は、熱帯雨林と比べて開発が遅れていました。そこで、熱帯季節林と乾燥林で伐倒調査を行い、熱帯季節林と乾燥林に適用できる地下部を含めた精度の高いアロメトリ式を開発しました(図5)。これらのアロメトリ式を用いることで、地上調査の結果から、森林タイプ別の単位面積当たりの平均炭素蓄積量を推定することが可能になりました。 ここで得られた森林タイプ別の単位面積当たりの平均炭素蓄積量と、衛星画像から得られた国レベルでの森林タイプ別面積を掛け合わせることにより、国レベルでの森林炭素蓄積およびその変化量を推定することが可能になりました。 本研究は、林野庁補助事業「REDD プラス推進体制整備事業」による成果です。 ※胸高直径 胸の高さで測った樹木の直径。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
図表5 | |
研究内容 | http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2015/documents/p40-41.pdf |
カテゴリ | 乾燥 経営管理 モニタリング リモートセンシング |