肥効調節型肥料を利用した多収水稲品種「北陸193号」の省力・低投入施肥技術

タイトル 肥効調節型肥料を利用した多収水稲品種「北陸193号」の省力・低投入施肥技術
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2011~2013
研究担当者 平内央紀
大角壮弘
松村 修
吉永悟志
発行年度 2014
要約 寒冷地南部の多収水稲品種「北陸193号」の栽培において、肥効調節型肥料を用いることにより、分げつ期に安定的に窒素を供給でき、かつ施肥窒素利用率が向上し、窒素施肥量を21~43%削減しても慣行栽培と同等以上の収量が確保できる。
キーワード 肥効調節型肥料、北陸193 号、多収水稲、低投入、省力
背景・ねらい 多収水稲品種の栽培は、多肥、大区画水田での条件下で行なわれることが多い。多収水稲品種「北陸193 号」は、出穂期は「晩生の晩」に属し、農家レベルで平均781g m-2、最高1094g m-2の収量を記録した品種である。本研究では、「北陸193号」について、肥効調節型肥料を利用することで水稲の施肥窒素利用率の向上を図り、窒素肥料の投入量の削減、追肥作業の省略および安定多収を得るための栽培法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 粗玄米収量は速効性肥料を分施する慣行と比較して、肥効調節型肥料を用いて窒素施肥量を約20%削減した条件(速CU、CUIおよびII 区)および約40%削減した条件(CUIII区)においても慣行と同等以上の収量が得られる。特に40日溶出型の肥効調節型肥料を混合した条件(CUI区)において最も収量が高く、慣行に対して有意に増収する。
  2. 肥効調節型肥料を用いた区では、基肥に速効性肥料を用いた区よりも穂数が多くなる傾向がみられ、特に肥効調節型肥料のみで窒素施肥量を約20%削減した区(CUIおよびII区)では、成熟期の穂数が慣行施肥に対して有意に増加する。このとき、籾数もCUI区において慣行施肥に対して有意に増加しているが、一穂籾数に大きな差は見られず、登熟歩合、千粒重も同程度であることから、収量の制限要因は穂数である(表1)。
  3. 収量の制限要因となっている穂数は、最高分げつ期の窒素含有率と有意な正の相関が見られ、肥効調節型肥料を用いた条件ではこの時期の窒素含有率が高くなる傾向が認められる。このとき、分げつ中期にあたる移植後42日と最高分げつ期直前の移植後56日の葉色を指標として利用できる(表2) 。
  4. このような、慣行と比較して窒素施用量を減らしても窒素含有率が向上した理由は、肥効調節型肥料による施肥窒素利用率の向上による(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 寒冷地南部の細粒質グライ低地土(可給態窒素242mg kg-1)における圃場試験の結果である。
  2. 基肥は代かき前に行い、全層施肥とした。
  3. 肥効調節型肥料を用いた処理区では分げつ盛期~最高分げつ期の葉色が濃く推移するため、ウンカ類が発生する地域では注意が必要である。
  4. 施肥窒素利用率については、窒素無施肥区の窒素吸収量から差し引き法で求めた数値である。
図表1 236966-1.jpg
図表2 236966-2.jpg
図表3 236966-3.jpg
図表4 236966-4.jpg
図表5 236966-5.jpg
図表6 236966-6.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2014/narc14_s01.html
カテゴリ 肥料 水田 水稲 施肥 品種

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