トウモロコシ萎凋細菌病菌を迅速かつ簡便に検出するLAMP法

タイトル トウモロコシ萎凋細菌病菌を迅速かつ簡便に検出するLAMP法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2011~2014
研究担当者 上松寛
井上康宏
大藤泰雄
発行年度 2014
要約 LAMP法を用いて、トウモロコシ萎凋細菌病菌に感染したトウモロコシの葉から、本細菌を簡便に検出できる。本法では、反応用試料の調製から判定までに要する時間が2時間程度であり、迅速にトウモロコシ萎凋細菌病を検査できる。
キーワード トウモロコシ萎凋細菌病、Loop-Mediated Isothermal Amplification (LAMP)法、検出診断
背景・ねらい トウモロコシ萎凋細菌病(病原:Pantoea stewartii subsp. stewartii)は、植物防疫法に基づき国内への侵入を警戒している重要病害であり、万が一国内に侵入した場合は、まん延を防止するための迅速な対応が求められる。そのため、国内で栽培されるトウモロコシに疑わしい症状が発見された際の、初動対応の意思決定には、簡便かつ迅速な検出法が必要である。そこで、Loop-Mediated Isothermal Amplification(LAMP)法を用いて本細菌を罹病トウモロコシ葉から簡便に検出する方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. P. stewartiicpsD遺伝子及びpstS-glmSスペーサー領域の塩基配列を元に設計した2種類のLAMPプライマーセット(PsCps1、PsPst1)は、P. stewartiiを検出できるが、類縁種及びトウモロコシのその他の病原細菌を検出しない(表1)。
  2. 本法の検出限界は約104cfu/mlで、既報のPCR法と同程度かつELISA法より高感度であり、植物体成分による反応阻害が起こりにくいため、診断用植物体を細断浸漬またはマルチビーズショッカーにより磨砕し、上澄みを反応用の試料として用いることができる(表2)。古い病斑などの菌濃度が低い試料でも利用できる。
  3. 反応用試料の調製から判定までに要する時間は2時間程度であり、高価な機器を必要とせずにサンプル入手当日に診断結果を得られる(図2)。現在のELISAキットは、結果を得るまで6~10時間かかり、輸入が必要(1000検体分で約10万円)で保存期間が1年と短い点、PCR法はサーマルサイクラーなどの高価な機器や電気泳動などの操作を必要とする点に比較して、本法は国内での簡易検査に向いている。
成果の活用面・留意点
  1. 本法は、トウモロコシ萎凋細菌病が疑われる症例(図1)が発生した場合に植物防疫所等が実施する国内検疫の簡易検査で活用可能である。
  2. 本法ではトウモロコシに対して病原性を持たない亜種P. stewartii subsp. indologenesも検出されるため、診断の確定には病原性検定及び細菌学的性質の検査が必要である。
  3. トウモロコシ萎凋細菌病は、我が国の植物防疫において侵入をもっとも警戒している 病害の一つである。本病の発生が疑われた場合は、速やかに最寄りの植物防疫所に連絡すること。
図表1 236993-1.jpg
図表2 236993-2.jpg
図表3 236993-3.jpg
図表4 236993-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2014/narc14_s28.html
カテゴリ とうもろこし

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる