オーキシン生合成阻害剤の散布がトマト苗の成長に及ぼす影響とそのモデル化

タイトル オーキシン生合成阻害剤の散布がトマト苗の成長に及ぼす影響とそのモデル化
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 2009~2014
研究担当者 東出忠桐
成川恵
嶋田幸久
添野和雄
発行年度 2014
要約 オーキシン生合成阻害剤をトマト苗に散布すると、葉面積増加等の伸長成長が阻害される。このとき純同化率には違いはなく、伸長阻害や乾物生産をモデル化することにより、異なる環境条件での阻害剤の成長への影響を予測できる。
キーワード 伸長成長、成長モデル、トマト、乾物生産、葉面積
背景・ねらい L-アミノオキシフェニルプロピオン酸(AOPP)を始めとする化合物はオーキシン生合成に阻害効果を持つことが、シロイヌナズナ等で報告されている。オーキシンは植物の生育において極めて重要な植物ホルモンであることから、オーキシンの生合成の調節は農業的利用へ発展する可能性があり、新規の植物成長調整剤の開発やオーキシンの合成経路の解明に至る可能性もある。そこで、トマト苗に対してオーキシン生合成阻害剤を散布処理した場合の形態的・生理的変化について調査し、植物成長調整剤への発展の可能性を明らかにする。また、植物成長調整剤等を利用する場合、薬剤と環境条件との複合的な影響が成長に表れることから、トマト苗の成長に対する阻害剤の影響と環境条件による影響の両作用を整理し、オーキシンの作用解明に関連する知見を得るため、異なる環境条件における阻害剤の効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. AOPPや合成したオーキシン生合成阻害剤(KOK1101)をトマト苗に散布処理すると葉面積増加等の伸長成長が阻害される。一方、乾物重への影響は環境条件によって異なる(表1)。
  2. AOPPおよびKOK1101を散布すると環境条件にかかわらず、純同化率には違いはみられない(表1)。また、伸長阻害効果は濃度依存的である(データ略)。
  3. 式1のように伸長阻害および乾物生産をモデル化することで、環境条件による阻害効果の違いを解明予測できる。
  4. モデルの作成と無関係なデータにより検証すると異なる環境条件での阻害剤の成長への影響が定量化でき(図1)、予測値と実測値との間には極めて強い相関(R = 0.94-0.98)がみられる。
成果の活用面・留意点
  1. 作成したモデルから阻害剤の影響は強光条件よりも弱光条件で大きくなることが推察でき(データ略)、本成果がオーキシンの作用解明にも利用できる可能性がある。
  2. AOPPおよびKOK1101等の阻害剤は農薬登録されていないため、植物成長調節剤として実用場面で利用することはできない。
  3. 散布処理は、約2葉期のトマト苗(「桃太郎ヨーク」)に対して、個体あたり17~25mLの阻害剤溶液を1日1回、6~7日間散布した結果である。AOPPおよびKOK1101の散布処理によるトマト苗の内生インドール-3-酢酸濃度の低下も確認されている。
図表1 237067-1.jpg
図表2 237067-2.jpg
図表3 237067-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/vegetea/2014/vegetea14_s03.html
カテゴリ 病害虫 トマト 農薬 光条件 薬剤

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