フモニシンはトウモロコシの穂の中で局在している

タイトル フモニシンはトウモロコシの穂の中で局在している
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2000~2012
研究担当者 上垣隆一
魚住順
発行年度 2014
要約 赤かび病を発症したトウモロコシの穂において、フモニシンの濃度が高いことがある。その穂は、病徴部位は非常に高い濃度のフモニシンが検出されるが、同じ穂でも無病徴部位のフモニシン濃度は低い。
キーワード 赤かび病、トウモロコシ、フモニシン
背景・ねらい 国内産の飼料作物トウモロコシから、豚の肺水腫や馬の白質脳軟化の原因かび毒であるフモニシンが検出され、その拡大と急性毒性の発生が懸念されている。
トウモロコシのフモニシンは、黄熟期以降の穂において急増することが確認されている。また、登熟したトウモロコシの穂において、かびが外見上認められていなくてもかび毒が検出される例がある等、植物体内でのフモニシンの分布や実態に関して不明な点が多い。
飼料用トウモロコシのかび毒汚染リスクの最小化を図るため、フモニシン汚染部位の詳細を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 飼料用トウモロコシ(品種A、B、C、D)を栽培すると、程度の差はあるが一部に赤かび病が自然発生することがある。
  2. 赤かび病が発生した穂から、外見上病徴が特に顕著な3本を品種毎に選抜・サンプリングし、包葉を取り除くと、穂の内部は特に上部に傷みが認められる(図1)。
  3. さらに穂を上部と内部に分け、包葉と併せて3部位(上部、下部、包葉)を、乾燥後にフモニシン濃度(B1+B2)を分析すると、上部の平均値は、品種A:17,000μg/kg乾物、品種B:19,000μg/kg乾物、品種C:25,000μg/kg乾物、品種D:20,000μg/kg乾物である(図1)。一方、下部の平均値は、品種A:170μg/kg乾物、品種B:630μg/kg乾物、品種C:230μg/kg乾物、品種D:80μg/kg乾物で、包葉は、品種A:730μg/kg乾物、品種B:240μg/kg乾物、品種C:660μg/kg乾物、品種D:240μg/kg乾物である(図2:2012年栽培データ)。
  4. トウモロコシの赤かび病の病徴のある穂では、フモニシン濃度が非常に高い箇所と、比較的濃度の低い箇所がある。この特徴はいずれの品種であっても同様である。フモニシンはトウモロコシの穂の中で均一に分布しておらず、病徴部位に局在している。
成果の活用面・留意点
  1. 国内において、食品あるいは飼料中のフモニシン濃度の規制値(基準値)は定められていないが、コーデックス委員会は、食品としての未加工のとうもろこし穀粒中に、基準値4,000μg/kg(B1+B2)を設定している。
  2. 赤かび病の病徴の顕著な部位の除去することができれば、全体のフモニシン濃度の低減化が期待できる。
  3. トウモロコシの赤かび病は、害虫による食害との関係も報告されており、必ずしも上部の傷みが激しいとは限らない。
  4. トウモロコシの赤かび病の原因菌は複数知られており、菌種によっては、デオキシニバレノール等のフモニシン以外のかび毒を産生するものもある。個別のかび毒の分布等については今後の検証が必要である。
図表1 237139-1.jpg
図表2 237139-2.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2014/niah14_s21.html
カテゴリ 害虫 加工 乾燥 飼料作物 飼料用作物 とうもろこし 品種

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