家畜由来Salmonella Enteritidisにおける遺伝子型の経年的変化

タイトル 家畜由来Salmonella Enteritidisにおける遺伝子型の経年的変化
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2008~2014
研究担当者 内田郁夫
小林亜由美
髙橋紗野香
小野章
田中聖
木嶋眞人
秋庭正人
発行年度 2014
要約 1975年から2009年に分離された鶏、牛、豚、および山羊由来S. Enteritidis分離株のMultilocus variable-number tandem repeat analysis(MLVA)による遺伝子型別の結果は、1989年ごろから新たな遺伝子型の菌が出現したことを示す。
キーワード Salmonella Enteritidis、家畜サルモネラ症、MLVA、遺伝子型
背景・ねらい Salmonella Enteritidisは家畜・家禽サルモネラ症の原因菌としてばかりでなく、人の食中毒の原因菌として重要であり、現在我が国では、サルモネラによる食中毒の症例から最も多く分離される血清型である。この菌による鶏のサルモネラ症や人の食中毒の症例は1989年ごろから増加しているが、1988年以前に分離された家畜由来分離株とそれ以降に分離された株の遺伝学的性状について比較した報告は殆どない。そこでこの研究では、分離株における遺伝子型の経年的変化についてMultilocus variable-number tandem repeats analysis(MLVA)を用いて調査する。
成果の内容・特徴
  1. MLVAは、菌の加熱抽出DNAを用いて反復縦列配列を含む12カ所の遺伝子座位(SENTR-1、SENTR-2、SENTR-3、SENTR-4、SENTR-5、SENTR-6、SENTR-7、SE-3、SE-4、SE-7、SE-6、SE-8)をPCR法で増幅し、得られた各PCR産物のシークエンスから繰り返し配列数を算出することにより実施する。
  2. 1975年から2009年に24道県において分離された鶏由来(n=63)、牛由来(n=12)、豚由来(n=2) 、山羊由来(n=2) の計79株をMLVAにより解析すると、14種類のプロファイルが検出される(図1) 。
  3. 14種類のプロファイルは、67.8%以上の類似度を同一のクラスターとした場合、3つのクラスター(A、B、C)に分類される。クラスターA では7種類(A1~A7)、Bは1種類(B1)、C では6種類(C1~C6)のプロファイルが検出される(図1 )。
  4. 62株はクラスターAに分類され、全ての株が1989年以降に分離されたものである。その他の17株はクラスターBあるいはCに分類され、このうちの13株は1988年以前に分離されたものであり、1989年以降、クラスターAの分離株が有意に増加していることが明らかとなる(p<0.01) (図1) 。
  5. 牛由来株については、クラスターAに分類されたものは1株のみで、他の11株はクラスターB(2株) あるいはC(9株) である(図1) 。
  6. ク ラ スターCに分類された鶏由来株では、1989以降に分離されたものは、5株中1株のみである(図1 ) 。
成果の活用面・留意点
  1. S. Enteritidisによる人および鶏のサルモネラ症が増加した1989年を境に、それまでとは異なる遺伝子型の株が分離されていたことが明らかとなり、その要因が注目される。
  2. 菌株の収集とそれらの細菌学的疫学指標のデータベース化は、流行型のモニタリング等疫学的調査に有用である。
図表1 237146-1.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2014/niah14_s28.html
カテゴリ データベース モニタリング 山羊

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