タイトル |
用水路位数に基づく用水システムの階層整序手法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 |
研究期間 |
2012~2014 |
研究担当者 |
樽屋啓之
中田 達
浪平 篤
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発行年度 |
2014 |
要約 |
用水システムのもつ階層構造を用水路位数によって表記し、位数の整序を通じてシステムの構造的な機能改善を図る手法である。特に水源統合による長大化の更新履歴を持つシステムの用水不到達・不均等配分問題などの原因究明と解決策立案に有効である。
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キーワード |
用水システム、用水路位数、水路階層、更新事業、長大水路、開水路
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背景・ねらい |
戦後の国内土地改良事業による用水システムの整備は、ダムや近代的頭首工の築造による「取水の安定化」を背景として進められた。その結果、多くの既存用水システムとその施設は、システムの上流に向かって上位階層が統合され大規模化されてきた歴史がある。一方、末端近くの水利慣行は温存されるので、しばしば上位にできる新しい階層と下位の古い階層との間で不具合(用水不到達、不均等配分など)を生ずる。本研究は、用水システムの更新過程に発生するこの種の問題の根本的な原因を、システム構造的な「階層ギャップ」の発生に求め、階層を評価する新たな指標(用水路位数)を導入し、これらのギャップの発見・解消を通じた水利施設の機能診断技術、さらに、対処療法ではない更新技術の体系化を目指す。
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成果の内容・特徴 |
- 水路や河川のネットワーク構造は、図1のような、有向線分(link)と点(node)によって表示できる。水路の路線区間をlinkで、それらが繋ぐ水利施設や装置などをnodeで置き換えることによって、用水システムをネットワークで表示できる。
- 図2(a)に、河川のlinkの順位付けの方法として、Hortonが提案しStrahlerが改良した河川位数(Stream order)の考え方を図示している。新たに導入する用水路位数(Irrigation canal order)は、図2(b)に示すように、河川位数の集水面積を末端用水路の受益面積に置き換え、河川位数とは逆に末端から上流に向かって順位付け(数値化)する指標である。
- 用水路位数においては、末端用水路linkの位数を1とする。位数1のlinkの上流側のnodeで同じ位数のlinkが分岐する場合には、上流に向かって本線linkの位数を1つ上げる。本線linkよりも小さい位数のlinkが分岐する場合には、上流に向かって本線linkの位数を変化させない。以上を用水路位数設定の基本ルールとする。
- 図3上段は、水路システムの統合によって上位階層と下位階層の間で階層の不連続(ギャップ)が生じている実態を用水路位数の変化を通じて示している。階層ギャップは用水配分の公平性を乱す主要な原因と考えられ、現場ではその典型的事例として、幹線水路から直接圃場へ配水する多数の「直分(ちょくぶん)」の問題が、広く認識されている。
- 図3下段は、階層ギャップを生じているlinkにおいて、導水路の新設、適切な二連化、あるいはバイパス化を図ることにより階層ギャップが解消されることを示している。階層ギャップを解消させることは、特定階層への偏りが疑われる水配分をネットワーク構造の見地から矯正し、各階層の管理の独立性を回復する(または獲得する)ことを意味する。
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成果の活用面・留意点 |
- 農政局調査管理事務所等で行われる事業地区調査や路線計画などに活用できる。
- 施設改変を伴わない番水システムなどの配水ルールの変更評価にも活用できる。
- 実際の路線更新計画にあたっては、別途エネルギーロスや建設コスト等の検討を要する。
- 用水路位数は下流端基準の比較用相対値であり数値自体が持つ固有の意味はない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2014/nkk14_s07.html
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カテゴリ |
コスト
診断技術
大規模化
水管理
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