タイトル |
光源をもつ携帯型NDVIセンサによる秋まき小麦「きたほなみ」の茎数推定法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
2011~2014 |
研究担当者 |
村上則幸
林怜史
佐々木大
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発行年度 |
2014 |
要約 |
光源をもち安価でかつ安定した測定が可能な携帯型NDVI(正規化植生指数)センサによる秋まき小麦品種「きたほなみ」の茎数の推定法を考案した。本手法により、これまで負担の大きかった初冬、融雪時の人力による茎数測定が省力化できる。
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キーワード |
NDVI、きたほなみ、植被率、茎数
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背景・ねらい |
全国小麦生産量の約半分を占める秋まき小麦の新品種「きたほなみ」は従前の品種に比べて高品質かつ多収が期待できるが、安定栽培のためには越冬前や起生期の茎数に基づく肥培管理が重要である。しかし、気象的にも厳しい時期の茎数の測定は負担が大きく肥培管理の障害となっている。本手法ではNDVIの土壌及び土壌条件の影響の調査・分析結果に基づき、従来困難であった植被率の低い越冬前・起生期の診断適期での利用方法を示す。
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成果の内容・特徴 |
- 携帯型NDVIセンサ(トリンブル製、GreenSeeker Handheld Crop Sensor)は、植物体での反射率の高い近赤外光とクロロフィルでの吸収帯域である赤色光の反射を利用した正規化植生指数(NDVI)を測定する。光源があり外光の影響が少なく測定は安定している。測定範囲は高さ60cmで直径25cm、120cmで50cmの円状である。小麦では、条間12―20cmで2条、大豆間作で1条(条間60-66cm)を測定するために、高さ90-100cmの位置で測定する。
- 越冬前の茎数とセンサ測定値の調査結果(2013-2014年)から、葉齢(主茎葉数)5.0-7.5(道央の主茎葉数の目標は5.5から6.5)の対象を測定して得た近似式の決定係数は0.75である(図1)。
- 起生期から幼穂形成期まで(草丈25cm以下)の、茎数とセンサ測定値の調査結果(2012-2014年)から得た近似式と実測値の誤差は茎数が増えると増大する(決定係数0.53)(図2)。1,300本以上の判定の正答率は75%である。
- 起生期以後については土壌水分や土性の影響の考慮が必要である。測定前に裸地測定し、センサ測定値が0.15より高い場合には、図2に示す近似式の推定値より茎数は少ない(点線)。その補正量は-259.9×(センサ測定値)+308.7である(図2,3)。
- 栽培指針に基づき越冬前の指標となる茎数(道北、道央:1,000本、道東:900本)起生期から幼穂形成期の指標となる茎数(道央:800本、1,300本、道東:1,000本)の推定に利用できる(図3)。
- 茎数の測定は人力では259本(m2換算で1,036本)の測定に4分以上を要するが、本センサでは5秒である(表)。測定範囲の調整や画像処理等の前後処理も不要である。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:農業改良普及員等の技術指導者、「きたほなみ」生産者及び技術指導者等。
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:道北、道央、道東の「きたほなみ」生産地域を中心に生産者並びに普及センター、JAなど20地点。
- その他:SPADメータより安価(8万円)である。南空知及び石狩での調査に基づく。
- 雪腐病の発生個所、冠水状態の圃場での利用は不適である。起生期の裸地での測定で、対象が遠いとエラーが表示された場合、裸地のセンサ値は0.15以上を適用する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2014/14_001.html
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カテゴリ |
画像処理
小麦
省力化
新品種
大豆
肥培管理
品種
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