タイトル |
寒地黒ボク土における作物残さの一酸化二窒素排出係数と作物の種類の影響 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
2007~2014 |
研究担当者 |
古賀伸久
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発行年度 |
2014 |
要約 |
寒地黒ボク土畑において、作物残さの一酸化二窒素排出係数は、作物により異なるが、いずれもわが国の温室効果ガス排出量算定で使用されているIPCCデフォルト値1.25%より小さい。
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キーワード |
一酸化二窒素、排出係数、作物残さ、C/N比
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背景・ねらい |
一酸化二窒素(N2O)は、農地土壌から発生する温室効果ガスの一つであり、化学肥料、家畜ふん堆肥、作物残さ等に含まれる窒素成分が土壌中に投入されることで発生する。日本国温室効果ガスインベントリ報告書では、化学肥料と有機質肥料については、わが国独自の排出係数(化学肥料等からの投入窒素量に対するN2O発生量の割合で、わが国では化学肥料と有機質肥料ともに0.62%を採用。計算式は式1参照)を用いた算定が行われているが、作物残さについては、IPCCのデフォルト値(1.25%)を用いた算定が現在も行われている状況にあり、今後わが国独自の排出係数を用いた算定ができるよう改善が求められているところである。本研究では、北海道の輪作畑において土壌からのN2O発生量を調査し、作物の種類ごとに作物残さの排出係数を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 北海道の4年畑輪作体系において、土壌からのN2O発生量を調査したところ、作物残さのN2O排出係数は、作物残さごとに異なる(図1)。
- C/N比が大きな秋まきコムギの刈り株では、排出係数は負の値を示す(図1、表1)。その理由として、土壌中での刈り株の分解過程で土壌微生物がN2Oの基質となる無機態窒素を体内に取り込むためと考えられる。
- 作物残さのN2O排出係数は、いずれの作物においても、現在わが国の温室効果ガス排出量の算定で使われているIPCCのデフォルト値1.25%よりも小さく(図1)、わが国の温室効果ガスインベントリ報告書において、作物残さの農用地の土壌へのすき込みに伴うN2O排出量が過大に評価されている可能性が示唆される。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:行政
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:本結果は、わが国独自の排出係数の原単位の一部として活用できるとともに、作物残さの特性に着目しながら排出係数データの蓄積を進め、作物の特性に応じて作物ごとに排出係数を設定する方法を提案しており、今後のわが国の排出量算定の改善や精緻化に資する知見である。
- その他:本成果は北海道十勝地方の普通黒ボク土畑(全炭素含有率2.8%)で得られた試験の結果を取りまとめたものである。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2014/14_055.html
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カテゴリ |
土づくり
肥料
寒地
輪作
輪作体系
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