携帯型生育量測定装置を用いた放牧草の単位面積あたり粗タンパク質量の推定

タイトル 携帯型生育量測定装置を用いた放牧草の単位面積あたり粗タンパク質量の推定
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2006~2014
研究担当者 渡辺也恭
坂上清一
川村健介
吉利怜奈
林志炫
李孝鎭
発行年度 2014
要約 市販の携帯型生育量測定装置を用いることにより、放牧草の単位面積あたり粗タンパク質量が高い精度で推定できる。また多地点でのデータが簡易に獲得できるため、草地の粗タンパク質量分布図が作成でき、草地管理に有用な情報が得られる。
キーワード 植生指数、粗タンパク質量、野外計測、分光波長、草地管理
背景・ねらい 草地における牧草栄養価のモニタリングは、効率的な放牧管理や適期刈り取りを行う上で有用な情報となるが、そのためには野外で簡易に利用できる測定装置が必要である。農研機構・生研センターが水稲の穂肥管理用に開発し、国内メーカーE社が市販中の生育量測定装置は、緑色光(550 nm)、赤色光(650 nm)および近赤外光(880 nm)について太陽からの直接光と植物群落からの放射光の強度を検出する上下のセンサーを備え、これら上下のセンサーの測定値の比を利用することにより、植物からの分光反射率を晴天から曇天にかけて安定して測定できる(図1)。そこで、この測定装置を利用した草地における牧草の質の測定法を確立する。さらに、得られた推定値を地理情報システム(GIS)で解析することにより、草地の粗タンパク質量分布図を作成する。
成果の内容・特徴
  1. 赤色光と近赤外光の分光反射率を利用して算出した正規化植生指数(NDVI)と、化学分析により得られた放牧草(ペレニアルライグラス優占草地)の単位面積あたり粗タンパク質量(gDM m-2)の対数値との関係は、直線回帰式で表すことができる。その決定係数は0.73と高く(図2)、年間を通じてもその決定係数は高く維持される。
  2. 生育量測定装置を用いた測定は雲量に左右されにくく1日で多地点のデータ獲得が可能である。得られたデータから上記の指数を用いて粗タンパク質量を推定した後、GISの解析機能の一つである空間補間法(クリギング)により、草地の牧草粗タンパク質量の分布図が作成できる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 牧草の粗タンパク質量分布図の作成により、粗タンパク質量の低い場所が特定され、草地管理を優先的に行う場所を選定できる。現地の目視観察と併せ、部分施肥や植生改善等の対策を決定できる。
  2. 採草地(イタリアンライグラス)においても単位面積あたり粗タンパク質量とNDVIとの相関は高く、粗タンパク質量の推定および分布図の作成ができる。
  3. 放牧草の現存量推定についても、NDVIの利用により可能であるが、決定係数は年間平均0.6とやや低い。
  4. 変異が大きい草地の粗タンパク質量の分布図作成ではデータの測定距離間隔を短くする。目安として変異が大きい草地で15m未満、小さい草地で30m未満程度である。
図表1 237230-1.jpg
図表2 237230-2.jpg
図表3 237230-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2014/harc14_s17.html
カテゴリ イタリアンライグラス 水稲 施肥 モニタリング

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