寒地型牧草はネムノキの樹冠下で収量と栄養価が高まる

タイトル 寒地型牧草はネムノキの樹冠下で収量と栄養価が高まる
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2011~2014
研究担当者 福田栄紀
発行年度 2014
要約 寒地型牧草オーチャードグラスの生育は、ネムノキの樹冠内が樹冠外よりも優れる。特に1番草では収量性が優れ、2番草では粗蛋白含量等は高く、難消化性繊維含量は低くなる等栄養特性が優れる。この樹冠内の良好な収量性は樹幹に近づくほど顕著となる。
キーワード 被陰樹、ネムノキ、窒素固定、夏枯れ、寒地型牧草
背景・ねらい わが国の最重要牧草である寒地型牧草は冷涼な北方起源であり、生産性は高いが、高い肥料要求性と日本の夏の暑さによる夏枯れの頻発という2つの大きな課題を抱える。一方、南方起源のマメ科樹種ネムノキは、展葉が6月中旬と極めて遅い開葉特性と窒素固定能を持つ。そのため牧草の生育盛期の4月から6月中旬まで木陰を作らず、夏枯れの起こる夏に木陰を作り、また痩せた土壌を肥沃化する。
そこで上記2課題の解決に本樹種の2つの特性が寄与しうるかをみるため、ネムノキ樹幹からの距離別に基幹的寒地型牧草オーチャードグラス(以下Og)の生育と成分特性を調べる。
成果の内容・特徴
  1. 収量、草丈はネムノキの樹幹に近づくにつれ1、2番草ともに漸次有意に高くなる (図1、2)。
  2. 乾物収量、TDN収量、CP収量は、樹冠内の方が樹冠外より高い。特に1番草でその樹冠内外差が顕著となる(表)。
  3. 成分特性における樹冠内外差は2番草においてより顕著に現れる。即ち、2番草では樹冠内が高い成分としてCP、DE、OCC+Oa等の蛋白質・可消化エネルギー関連成分が、逆に樹冠外が高い成分としてOCW、Ob等の繊維性成分があげられる(表)。
  4. 番草の違いにより樹冠内外差の現れ方が異なり、1番草では収量性の内外差が、2番草では成分特性の内外差が顕著となる(表)。
  5. 以上の結果は、Ogの生育環境がネムノキ樹冠内において一様ではなく、樹幹に近づくにつれて漸次好適になり生育が促進されること、およびネムノキは夏が暑い日本において施肥要求性の高いOgのための庇陰樹、肥料木として役立つことを示唆する。
成果の活用面・留意点
  1. 無施肥や施肥節減を目指す持続可能性の高い環境保全型の永年草地管理技術や有機畜産技術の開発に活用できる。
  2. わが国における寒地型牧草の夏枯れ防止技術の開発に活用できる。
  3. 本結果は、畦にネムノキが生える岩手県内の採草地における結果である。
図表1 237261-1.jpg
図表2 237261-2.jpg
図表3 237261-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2014/tarc14_s11.html
カテゴリ 肥料 寒地 管理技術 施肥

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