タイトル |
火入れはクズの埋土種子を出芽させ、放牧は出芽個体を消滅させる |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
2011~2014 |
研究担当者 |
福田栄紀
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発行年度 |
2014 |
要約 |
クズの埋土種子は、地上植被の伐採のみではその休眠はほとんど打破されない。しかし、火入れがなされると、休眠打破と出芽が顕著に促進される。その出芽実生は放牧がなされないと半年で再優占化するが、放牧がなされると速やかに消失する。
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キーワード |
埋土種子、硬実打破、変温感受性、伐採、火入れ
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背景・ねらい |
クズは放棄農林地をはじめ至る所で他の植物を覆い隠すほど旺盛に繁茂するため、大きな問題となっている。そのようなクズ繁茂地の処理、活用技術の開発に資するため、クズ繁茂植生に対する伐採と火入れがクズ埋土種子の出芽に及ぼす影響、および放牧がその出芽実生の消長に及ぼす影響を調べる。
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成果の内容・特徴 |
- 放棄農林地を伐採し、枝条葉を寄せ集めた集積塊に5月上旬火入れをし、火入れ跡地の中心から距離別にクズの出芽数と残存埋土種子数を調べる。5月下旬から伐採跡地を囲ってヒツジを放牧し、4つの条件(火入れ禁牧、火入れ放牧、伐採禁牧、伐採放牧)下で各々のクズの被度の変化を比べる。
- 火入れ跡地中心部では出芽数は僅かであるが、外縁に向かうにつれ漸増し,外縁部で最も多い。埋土種子は中心部にはないが、外縁部では一定数残存する。一方、伐採のみで火入れがされない所では出芽は僅かで,ほとんどが埋土種子として残る(図1)。
- クズ埋土種子は、伐採後の露出表土への直達光に起因する地温上昇にはあまり反応せず、火入れ時のより高温域への地温上昇に反応して休眠が打破される。
- クズは林縁や放棄地等の撹乱跡地に生育する埋土種子形成植物であるが、単なる地表撹乱依存種ではなく、野火や山火事等の「火による撹乱」に適応した休眠打破特性を持つ種と考えられる。
- 出芽個体は禁牧条件下で5ヶ月後には早くも被度50%以上を示し再優占化するが、放牧条件では早々に消滅する(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 放棄農林地だけでなく他の様々なクズ繁茂地を伐採後に再利用しようとする際、その伐採枝条の処理や再繁茂を防止する技術の開発に活用できる。
- クズ埋土種子の硬実打破率や死亡率、打破後の種子の出芽率や死亡率等は火入れ時の地温変動条件に依存すると考えられる。そのため、火入れ地の可燃物の量や分布様式によっては中心部からの距離に応じた地温傾度の様相が異なり、出芽や埋土種子残存のパターンが異なることが予想される。
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図表1 |
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図表2 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2014/tarc14_s12.html
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カテゴリ |
羊
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