タイトル |
有機農家直売市が有機農家の販売収入向上と新規就農支援に果たす役割 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2011~2014 |
研究担当者 |
尾島一史
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発行年度 |
2014 |
要約 |
有機農家直売市は、有機農家に対して消費者に対面販売する場を提供し、幅広い農家層の販売収入向上に貢献する。また、消費者や他の有機農家と対話し、販売収入向上に役立つ情報を交換する場となる。さらに、研修受入農家の紹介と販路提供により新規就農を支援できる。
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キーワード |
有機農家直売市、販売収入向上、対面販売、対話、新規就農支援
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背景・ねらい |
食の安全や環境問題への関心の高まりを受け、有機農業での就農を希望する者が増えている。しかし、有機農家は少数で小規模農家が多いため、研修機会や就農後の販路確保、販売収入向上等の課題が指摘されている。これらの課題解決の場として、有機農家自らが有機農業によって生産した農産物を自ら販売する有機農家直売市(オーガニックファーマーズマーケット)が注目されている。そこで、約10年の開催実績のある事例を対象にして、有機農家直売市が有機農家の販売収入向上と新規就農支援に果たす役割を明らかにする。事例は、毎週土曜日の8:30~11:30に開催されており、出店農家数は約20~30戸/回、来客数は約1,000人/回である。
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成果の内容・特徴 |
- 有機農家直売市は、幅広い農家層の有機農家の販売収入向上に貢献する。有機農家直売市は、出店者が自分で価格を設定し、少量から販売できる自由度の高い販路であるので、有機農業に取り組み始めた小規模農家も出店しやすい。出店農家の出店歴や年齢、販売規模は様々であるが、大部分が出店後、有機農家直売市での販売額と経営全体としての総販売額をともに増加させている(表1)。さらに、出店農家の多くが総販売額に占める有機農家直売市での販売額の割合を高めている。
- 有機農家直売市は、出店農家が求めている消費者、他の有機農家等との対話の機会を提供する。出店農家は、来客者や他の出店者との対話を強く期待して出店を始めているが、出店後においても対話面での評価は期待以上に高い(図1)。
- 有機農家直売市は、出店農家が販売収入向上に役立つ情報の交換を行う場となる。出店農家は、来客者に対面販売を行うことで、「品目の特徴」や「栽培方法」について来客者に情報を提供し、「食べた後の感想」を聞くことで農産物に対する評価情報を得ている(図2上)。また、出店農家同士で、「栽培方法」や「直売市での販売状況」、「直売市以外の販路」等について対話している(図2下)。このような対話は、出店者に出店する利点として認識されており、消費者ニーズの把握、来客者の求める新品種の導入、販路拡大、営農意欲の向上等につながっている(表1)。
- 有機農家直売市には、出店者や客だけでなく有機農業に関心を持つ者が集まるが、就農を希望する者も集まる。そのような場の特徴を活用して就農の相談窓口を設けると新規就農への入口となる。事例でも直売市の一画に相談窓口を2010年に開設し、相談者が研修を希望すれば、受け入れ可能な出店農家を紹介している。2013年までに出店農家7戸が25名の研修生を受け入れ、うち10名は就農後に出店農家となっている。このように、有機農家直売市は新規就農の窓口、就農までの研修、就農後の販路確保と販売収入向上に至るまでの一連の諸課題を解決する役割を果たしている。
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成果の活用面・留意点 |
- 有機農家直売市の運営者、出店農家および支援機関が、運営の改善や開催、支援を行う際の参考情報になる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/warc/2014/warc14_s06_1.html
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カテゴリ |
有機農業
有機栽培
有機農産物
経営管理
新規就農支援
新品種
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