タイトル |
くし状のこぎ歯を備えたこぎ胴を持つ脱穀選別機構 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
研究期間 |
2011~2014 |
研究担当者 |
梅田直円
嶋津光辰
栗原英治
荒井圭介
野波和好
阿川陽一
石川昌範
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発行年度 |
2014 |
要約 |
くし状のこぎ歯を備えた縦置き直流型こぎ胴と2番還元横送りオーガを改造した単粒化処理機構から構成される脱穀選別機構である。エンジン出力に対する脱穀所要動力の割合は1割程度である。
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キーワード |
脱穀選別機構、くし状のこぎ歯、単粒化処理機構、コンバイン、省エネルギ
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背景・ねらい |
穀物収穫では、自脱コンバインによる収穫作業が一般的である。自脱コンバインの脱穀選別部の基本構造は長年大きな変化はなく、作業の高能率化を図るためにはエンジンの高出力化によるところが大きいのが現状であり、脱穀所要動力を抑える技術が求められている。一方、生研センターでは「脱穀所要動力の低減を可能とするくし状のこぎ歯を備えた脱穀機構(H22成果情報)」を報告しているが、穂切れ粒低減等への対応が残っている。そこで、コンバインの脱穀所要動力を低減することを目的に、くし状のこぎ歯を備えたこぎ胴を持つ脱穀選別機構を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 本脱穀選別機構は、くし状のこぎ歯を備えたこぎ胴を持つ脱穀部と従来の2番還元横送りオーガ(枝梗付着粒等を選別装置へ再投入するための搬送装置)を改造した単粒化処理機構を持つ簡素な構造の選別部とから構成されている(図1)。
- 脱穀部は、こぎ胴、受け網(側面、底面)、排塵口ブラシ、フィードチェーン、補助搬送装置等から構成されている(図1(a))。こぎ胴は回転軸が鉛直方向(縦置き)に配置され穂首から穂先に向けて脱穀する。単粒は受け網を透過し1番オーガに漏下する。穂切れ粒、枝梗付着粒等はブラシに当たるなどの後、単粒化処理機構に漏下する。
- 従来の2番還元横送りオーガ部に配置する単粒化処理機構は、不連続スクリュおよび先端に掻き込みピンを持つ撹拌棒を備えたスクリュオーガ、底板、天板等から構成されている(図1(c))。スクリュオーガは枝梗付着粒等をグレンタンク反対方向に搬送しながら単粒化処理する。また、天板に抵抗板を備えることによって、単粒化率は上がる。発生した塵は底板のスリットから機外へ排出され、スクリュオーガの端まで搬送された穀粒は1番横送りオーガに搬送される。
- くし状のこぎ歯は突起部をラセン状に配置することで、こぎ残し損失が低減される(図1(b))。また、脱穀所要動力はエンジン出力の10%未満(自脱コンバイン4割程度)である。
- 本脱穀選別機構を中山間地域対応自脱型コンバインに適用した場合(図2)、わら流量650kg/h程度で、こぎ残し損失1%程度、単粒割合91%程度(自脱コンバインの脱穀選別損失3%未満、単粒割合90%以上)で収穫できる(表)。
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成果の活用面・留意点 |
- 発生わら量(自脱コンバインは5~10%程度)および脱穀所要動力が小さいことから、揺動選別機構が無い等の簡素な構造で省エネルギ型の機構を開発することができる。
- コンバインに適用し水稲を収穫する場合、穂首がこぎ胴回転中心より浅くなるとこぎ残し損失が急増するので、こぎ深さを制御できる刈取り部が必要である。
- 単粒化処理機構は水稲にのみ適用可能であり、脱穀部を麦に適用する場合には選別部の改造が必要である。
- 選別損失は機体構造によって異なることから、適用した機械で調整が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2014/brain14_s01.html
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カテゴリ |
省エネ・低コスト化
水稲
中山間地域
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