タイトル |
収量および果形の優れる単為結果性のナスF1品種「あのみのり2号」 |
担当機関 |
(国)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 |
1994~2015 |
研究担当者 |
齊藤猛雄
松永啓
斎藤新
吉田建実
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発行年度 |
2015 |
要約 |
「あのみのり2号」は「あのみのり」と同等以上の高い単為結果性を有し、着果促進処理を行わなくても果実は正常に肥大する。さらに、「あのみのり」よりも収量性および果形が優れる。
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キーワード |
ナス、単為結果性、省力適性
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背景・ねらい |
ナス栽培においては、着果および果実の肥大安定化のために着果促進剤処理や訪花昆虫が利用されている。しかしながら、着果促進剤処理に要する労力は栽培に要する全労働時間の約1/4~1/3を占めるとともに、訪花昆虫の利用には花粉形成に必要な最低温度の確保が前提であり、生態系への配慮も必要である。これらの問題を解決するために、着果促進処理を必要としない単為結果性品種「あのみのり」を育成したが(2009年品種登録)、収量性がやや低い、栽培する環境条件等によって果形が変化しやすい等の問題が残されていた。そこで、これらの特性を改良した単為結果性品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「あのみのり2号」は、「AE-P01」を種子親、「AE-P24」を花粉親とした一代雑種である。「AE-P01」は、イタリアから導入したナス品種「Talina」を単為結果性の育種素材とし、「中生真黒」および「なす中間母本農1号」を交配した後代から選抜して育成した品種である。また、「AE-P24」は「Talina」、「中生真黒」、「なす中間母本農1号」および「千両二号」を育種素材として交配した後代から選抜した品種である。
- 「あのみのり2号」は、高い単為結果性を有するため、正常果の割合が高く(表1)、低温期である促成作型において、着果促進処理を行わなくても商品果の生産が可能である(表2)。
- 「あのみのり2号」は、「あのみのり」よりも1株当たりの商品果数が多く、収量性が優れる(表2)。
- 「あのみのり2号」の果実は長卵形で良好な外観を示し(表2、図1)、栽培する環境条件等による果形の変化が「あのみのり」よりも少ない。
- 「あのみのり2号」は、着果促進処理が不要なことおよび側枝の伸長がややゆるやかなことから(図2)、整枝作業を含む栽培の省力化が可能である。
- 「あのみのり2号」の食味を含む果実品質は一般的な市販品種と同等以上である。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:ナス生産者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:2015年に野菜茶業研究所から種子分譲した数量は約74,000粒(260件以上)であり、株式会社日本農林社からの販売種子数も含めて推定した普及面積は約15haとなる。5年後には全国的に約50haで栽培されると推定される。
- その他:「あのみのり2号」は、2015年度に農林番号(平25なす農林交5号)を付与された。「あのみのり2号」の種子は株式会社日本農林社から販売されているほか、株式会社渡辺採種場および江山種苗株式会社からも販売予定である。先行して発表した単為結果性品種「あのみのり」と同様、全国の種々の作型で栽培可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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図表7 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/vegetea/2015/15_031.html
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カテゴリ |
育種
省力化
単為結果
茶
なす
品種
良食味
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