アグロバクテリウム遺伝子組換え技術によるブラジル産ダイズの乾燥耐性の改良

タイトル アグロバクテリウム遺伝子組換え技術によるブラジル産ダイズの乾燥耐性の改良
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究期間 2010~2015
研究担当者 金森紀仁
藤田泰成
中島一雄
篠崎和子
Juliane Marinho
Alexandre Nepomuceno
発行年度 2015
要約 低いコピー数で遺伝子を植物に導入することができるアグロバクテリウム遺伝子組換え技術をブラジルのダイズ品種で確立し、シロイヌナズナにおいて乾燥ストレス耐性に重要な役割を担っているAREB1転写因子の遺伝子をブラジルのダイズ品種に導入すると、温室条件下で乾燥耐性を示す。
キーワード 干ばつ, 遺伝子組換えダイズ, AREB1転写因子
背景・ねらい 世界各地で発生する大規模で深刻な干ばつにより、主要作物であるダイズは甚大な被害を受けている。特にブラジルにおけるダイズ生産量はアメリカに次いで世界第2位、輸出額は世界第1 位であるが、過去10 年間に4 回(2004/05、2008/09、2011/12、2013/14 収穫年度)もの干ばつが発生しており、干ばつに強いダイズの開発は急務となっている。これまでダイズの遺伝子組換えに用いてきたパーティクルガン法では、導入される遺伝子のコピー数が多いことや、導入遺伝子のDNAの断片が挿入されることによる遺伝子の異常発現やサイレンシングなどにより、育種への利用が難しい。そのため、低コピーで遺伝子の導入ができ、断片化したDNAの挿入のリスクが少ないアグロバクテリウムを用いた遺伝子組換え技術を確立することが求められていた。本研究では、低いコピー数で遺伝子を導入することができるアグロバクテリウムを用いた遺伝子組換え技術をブラジルのダイズ品種で確立し、シロイヌナズナにおいて乾燥ストレス耐性に重要な役割を担っているAREB1転写因子の遺伝子を用いて、乾燥ストレスに耐性を示すダイズの作出を試みる。
成果の内容・特徴
  1. ブラジルのダイズ栽培品種BR-16を用いて、アグロバクテリウムによる遺伝子組換え技術を確立し(図1a)、1mMジチオスレイトールおよび1mMチオ硫酸ナトリウムをアグロバクテリウム感染培地に用いたところ、形質転換効率は1.5%、導入遺伝子数は1~2コピーであり、実用レベルで組換えダイズを作出できる。
  2. アグロバクテリウム法によって35Sプロモーター:AREB1遺伝子を導入したダイズ品種BR-16のうち、 1Ea15系統、1Ea2939系統における導入遺伝子数は2コピー、1コピーである。
  3. 導入したAREB1遺伝子の発現レベルは、1Ea2939系統では高いが、1Ea15系統では低い。
  4. 温室条件下において、1Ea2939系統は強い乾燥ストレス(17日間無給水)に対して最も耐性を示し、その生存率は60%である(図1b-d)。
  5. 給水停止7日間のストレス条件下において、1Ea2939系統は原品種と比べて光合成速度が有意に高い。このことは乾燥ストレスによるダメージが少ないことを示唆する(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. アグロバクテリウムを用いたブラジルダイズ品種の遺伝子組換え技術の確立により、様々な有用遺伝子を低いコピー数でブラジルのダイズ品種に導入することが可能となる。
  2. 乾燥ストレス耐性を示したAREB1遺伝子組換えダイズ1Ea2939系統について、圃場レベルでの評価試験が必要である。
図表1 237433-1.jpg
図表2 237433-2.jpg
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2015_b02
カテゴリ 育種 乾燥 大豆 品種 輸出

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