ダイズ耐塩性遺伝子Nclの単離とその利用による耐塩性の向上

タイトル ダイズ耐塩性遺伝子Nclの単離とその利用による耐塩性の向上
担当機関 (国)国際農林水産業研究センター
研究期間 2011~2015
研究担当者 許東河
庄野真理子
末永一博
Tuyen Duc Do
Huatao Chen
Hien Thi Thu Vu
Aladdin Hamwieh
山田哲也
佐藤 雅志
厳 勇亮
叢 花
発行年度 2015
要約 ブラジルのダイズ品種FT-Abyaraから単離された耐塩性遺伝子(Ncl)は、植物体地上部のNa+、K+、Clの濃度を同時に抑制する。DNAマーカー選抜や形質転換の育種手法によってNclを導入した既存のダイズ品種は耐塩性が向上する。塩害圃場においてNcl保有系統は高い子実収量を維持できる。
キーワード ダイズ, 耐塩性, 遺伝子
背景・ねらい ダイズ(Glycine max)は世界で最も重要なマメ科作物であり、主要な油脂原料およびタンパク質源として、その利用は多岐にわたる。しかし、ダイズの収量は、稲やトウモロコシなどイネ科作物に比べると低く、また、干ばつ、塩害、低温などさまざまな環境ストレスの影響により不安定である。塩害は、世界のダイズ生産地帯、特に、中国等の乾燥・半乾燥地域において報告されている。わが国においても,津波や高潮による海水の流入に起因する塩害が報告されている。これらの問題への対策として、ダイズ耐塩性の遺伝的改良が有力な手段である。そこで、耐塩性の高いダイズ品種から耐塩性遺伝子を単離し、その機能および導入効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. マップベースクローニング法を用いてブラジルのダイズ品種FT-Abyaraから単離した耐塩性遺伝子(Ncl)(図1)は、第3染色体上に座乗し、この遺伝子は植物体地上部のNa+、K+、Cl-濃度を同時に抑制する。
  2. 戻し交雑とDNAマーカー選抜によりNclを導入した塩感受性品種Jacksonや、形質転換法によりNclを過剰に発現させた塩感受性品種カリユタカは耐塩性が向上する(図2、3)。
  3. Ncl準同質遺伝子系統を用いて塩害圃場で評価すると、Nclを持つダイズ系統は塩処理圃場でも高いダイズ収量を維持でき、耐塩性系統の子実重は平均して塩感受性系統の子実重の4.6倍である(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. Nclは、旧名qNaCl3として2014年2月17日に特許出願(日本)、同年11月28日に特許登録済みである。
  2. Nclは、DNAマーカー選抜や遺伝子組換えなど分子育種の手法で既存ダイズ品種に導入することが可能である。
図表1 237435-1.jpg
図表2 237435-2.jpg
図表3 237435-3.jpg
図表4 237435-4.jpg
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2015_b04
カテゴリ 育種 乾燥 大豆 DNAマーカー とうもろこし 品種

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