構造用パーティクルボードをJIS規格に

タイトル 構造用パーティクルボードをJIS規格に
担当機関 (国)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 渋沢 龍也
宮本 康太
発行年度 2016
背景・ねらい パーティクルボードは建築解体材等の木質廃棄物から製造が可能な板状の材料です。パーティクルボードは、これまで家具等に用いられてきましたが、木造建築物の構造材としては使用できませんでした。そこで、構造用材として使用するための研究開発を行い、構造材としての性能を担保するための品質管理手法を確立しました。得られた成果を応用することでJIS規格(日本工業規格)に構造用途に使用するための区分が新設され、現在、建築基準法における位置付けが検討されています。パーティクルボードはHWP(伐採木材製品)として、環境に対する貢献が認められており、今後の普及推進が期待されます。

HWP(伐採木材製品)
国際的な気候変動対策の枠組みでは、各国が、住宅等に使用している木材製品に貯蔵されている炭素を各国の温室効果ガス吸収量として計上できます。木材製品による炭素貯蔵量の増加が地球温暖化防止に効果を持つことが、国際ルールの中で評価されています。
成果の内容・特徴 パーティクルボードとは
パーティクルボードとは、木材の小片に接着剤を噴霧して堆積したマットに熱と圧力を加えて成型した板状の材料です(図1)。原料として間伐材や製材工場の端材、建築解体材等を使うことが可能で、未利用材や残廃材を有効利用できます。しかし、パーティクルボードは小片からできているため、強度性能が低く、家具や造作材にしか使用することができませんでした。

木造建築物の耐震性能
日本の木造建築物は、主要構造部分が柱・梁材からできていますが、これらは鉛直荷重を支える役割を果たしており、地震や台風などの水平力に耐えるためには、耐力壁と呼ばれる構造が必要となります。従来の耐力壁では、壁の柱・梁材で囲まれる四角形の空間の対角線上に、筋かいと呼ばれる材料を入れることで、つっかい棒の役割を担わせる方法が採られました(図2)。近年では、断熱性能の確保が容易であることから、面状の材料を張った耐力壁が普及しましたが、使用可能な材料は合板や構造用パネル(OSB)等に限られていました。パーティクルボードも使用可能な材料でしたが、合板等より強度が低いために厚い製品を使用せざるをえず、結果として建築現場で特殊な施工方法を用いる必要があったことから、ほとんど使用されることはありませんでした。

構造用途で使用するための性能保証
パーティクルボードを構造用途で使用するためには、合板等と同じ厚さで同程度の性能を確保することが必要です。これまでは、各メーカーが個別に国土交通大臣の認定を取得していましたが、製品の間に互換性がなく、広く普及することができませんでした。一般的な材料として認知されるためには、どのメーカーの製品でも同じ性能を持つことを担保する必要があり、そのためには材料の規格によって性能を担保する方法が有効です。パーティクルボードの材料規格は、JIS規格(日本工業規格)に規定されています。そこで、構造用途で使用可能な製品を位置付ける新しい分類として「構造用パーティクルボード」の区分を設定しました。構造用途で使用可能であることを示すためには、品質を担保するための試験方法とその合格基準値を決める必要があります。これまで森林総合研究所で実施してきた研究の成果を基に、これらの項目を決めることができました。
本課題の成果により、パ-ティクルボードを構造用途に使用するための方策が確立しました。現在、建築基準法における位置付けが検討されています。パーティクルボードはHWP(伐採木材製品)として、環境に対する貢献が認められており、今後の普及推進が期待されます。
図表1 237463-1.jpg
図表2 237463-2.jpg
図表3 237463-3.jpg
研究内容 https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2016/documents/p22-23.pdf
カテゴリ 気候変動対策

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