高性能木質固形燃料「トレファクション燃料」の連続製造に成功

タイトル 高性能木質固形燃料「トレファクション燃料」の連続製造に成功
担当機関 (国)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 吉田 貴紘
久保島 吉貴
上川 大輔
垂水 亜紀
井上 真理子
木口 実
田中 孝二郎
増井 芽
大藪 吉郁
五十嵐 大徳
小林 明央
発行年度 2016
要約 従来の木質ペレットより高エネルギーで、水に強く扱いやすい高性能な木質燃料「トレファクション燃料」の実証プラント建設と連続製造に成功し、これを家庭、地域で有効活用するモデルを示しました。
背景・ねらい 木質ペレット等の木質固形燃料は、エネルギー(発熱量)が化石燃料より低く、水に浸すとふくらんだり形が崩れたりする欠点がありました。そこで発熱量が高くて水に強い高性能な木質燃料「トレファクション燃料」をつくる実証プラントを建設し、昼夜連続運転による燃料の製造試験に成功しました。この燃料を農業用温風機や家庭用ストーブで利用できることを明らかにし、地産地消型の高性能木質固形燃料として利用できることを示しました。

木質ペレット
粉砕した木材をペレタイザーとよばれる装置で円柱状に圧縮、成型した固形燃料で、薪やチップに比べて体積当たりのエネルギーが高く輸送効率に優れるほか、扱いやすく、ストーブなどの小型燃焼機器でも自動運転が可能などの特徴があります。
成果の内容・特徴 木を焙じて高性能な燃料をつくる国内初の実証プラント
木材チップや木質ペレットに代表される木質燃料は、発熱量が化石燃料より低く、水に浸すとふくらんだり形が崩れたりする欠点がありました。そこで、ちょうどコーヒー豆などを「焙じる」ように、原料木材をトレファクションと呼ばれる250~300℃程度の高温条件による半炭化処理を行い、これをペレット成型することった高性能化を実現しました。さらに、この高性能燃料を製造する国内初の実証プラントで、発熱量は従来の木質ペレットより約20~30%も向上したうえ、湿度の高い劣悪な状況下でも保管性に優れるといを神奈川県伊勢原市に建設しました。

次世代炭焼き「トレファクション」実証プラントの概要
図1に実証プラント概要を示します。炭化炉は外熱式ロータリーキルンを採用し、1時間あたり20kg の木材チップを処理できます。枝葉や樹皮など多様な原料に対応できるとともに、木材チップから発生するガスを炉の加熱用燃料に使用します。トレファクションされたチップは、併設したペレット化装置で高密度のペレットに成型することが可能となっています。

昼夜連続製造に成功!
このプラントは平成26年12月に完成し、のべ約20日間の昼夜連続運転試験を行いました。生のスギ木材チップを原料にして、トレファクションチップを連続製造し、得られたチップからペレット燃料を製造することに成功しました。

地産地消の次世代型高性能燃料として期待
トレファクション燃料は、これまで主に石炭と混焼して大規模に発電に使用する方法が検討されてきましたが、本研究から、地域で小規模に熱利用する方法がみえてきました。試験の結果、この燃料は市販の家庭用ペレットストーブや農業用温風機(図2)で使用可能であり、かつ従来ペレットよりも着火が早いといった特徴のあることがわかりました。また、保管性や携帯性に優れる特徴を活かして、アウトドアや防災燃料用途にも利用できるなど、図3に示すような地産地消型の燃料として期待できます。山村地域に眠る未利用木質バイオマス資源を地域で高性能燃料に加工し、地域内外へ多目的に活用できる道筋を展開すべく、製造・利用の実用化を目指していきます。

本研究は、林野庁木質バイオマス加工・利用システム開発事業「林地残材等のトレファクション燃料化による高性能利用技術の確立」による成果です。


トレファクション
従来の炭化温度(600 ~ 1,000℃)よりも低い温度(250~ 300℃)で、酸素を遮断して行う熱処理のことを指します。元来の意味はコーヒー豆などの「焙煎」です。

外熱式ロータリーキルン
外熱式ロータリーキルン:円筒を横に倒したような形の加熱装置で、筒の外から熱を加えます。目的により炭化、焼却、ガス化などに使われます。
図表1 237467-1.jpg
図表2 237467-2.jpg
図表3 237467-3.jpg
研究内容 https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2016/documents/p30-31.pdf
カテゴリ 加工 コーヒー豆 輸送

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