ヒラメの放射性セシウム汚染履歴の解明

タイトル ヒラメの放射性セシウム汚染履歴の解明
担当機関 (国)水産総合研究センター 東北区水産研究所
研究期間 2012~2015
研究担当者 栗田 豊
冨樫博幸
伊藤進一
重信裕弥
佐久間徹
発行年度 2015
要約 ヒラメの放射性セシウム濃度は、事故前生まれ群は事故後生まれ群よりも値が高く、個体差が大きかった。このことは、事故前生まれ群の一部が事故直後に漏出した放射性セシウム高濃度水により汚染されたためであると考えられた。シミュレーションにより、事故後約100日以降は主な汚染源が餌であること、ヒラメの濃度は餌の濃度の2倍程度までしか上がらないことが明らかとなった。
背景・ねらい 2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故により、常磐海域周辺に生息する魚介類が放射性セシウムに甚だしく汚染された。魚類の放射性セシウム汚染機構を理解し今後の推移を予測するために、ヒラメを例として、時空間的にどの様に汚染されたのか(汚染履歴)を明らかにすることを目的とした。
成果の内容・特徴 仙台湾で採集されたヒラメの放射性セシウム137(以下、セシウムと表記)濃度(Bq/kg-wet)の時系列変化(事故後256~1201日)を年級群ごと(2009~2012年級)に調べた。事故前生まれ群(2009、2010年級)は50から10Bq/kg-wet以下まで漸減傾向を示し、事故後生まれ群(2011、2012年級;10Bq/kg-wet以下)よりも値が高く(Steel-Dwass test, P<0.05)、値のばらつきも大きかった(図1)。また、日間摂餌量を体重の2%、餌のセシウム吸収率を0.6、海水からの放射性セシウム吸収係数を0.1、生物学的半減期を104日として、モニタリングより得られた海水および餌料生物のセシウム濃度を与えたシミュレーションは、観察されたセシウム濃度の減少傾向および年級群による濃度の違いを再現した(図2)。事故後約100日までは海水からのセシウム取り込みが大きく、この期間に経験した海水のセシウム濃度が個体のセシウム濃度をほぼ決定したと推察された。また、シミュレーションによると魚体のセシウム濃度は餌の約2倍の濃度で一定となった。
成果の活用面・留意点 ヒラメ体内のセシウム濃度は、事故直後に漏出した放射性セシウム高濃度水の影響が大きいことが明らかとなった。従って、今後大きな放出がなければ、ヒラメ体内のセシウム濃度は引き続き減少すると思われる。シミュレーションに用いたパラメータは検討の余地があるが、得られた特徴は変わらないと思われる。
図表1 237496-1.jpg
図表2 237496-2.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5158&YEAR=2015
カテゴリ モニタリング

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