被嚢軟化症原因鞭毛虫Azumiobodo hoyamushiは海水中でシスト細胞を形成する

タイトル 被嚢軟化症原因鞭毛虫Azumiobodo hoyamushiは海水中でシスト細胞を形成する
担当機関 宮城県水産技術総合センター
研究期間 2012~2014
研究担当者 縄田暁
熊谷明
広瀬裕一
北村真一
発行年度 2015
要約 培養液中のマボヤ被嚢軟化症原因鞭毛虫を海水中に暴露すると、一部が球形で付着性の一時シスト細胞を形成した。シスト細胞は健康なマボヤ被嚢の海水抽出で脱シストした。シスト細胞は海水中で3ヶ月間は生存していた。
背景・ねらい マボヤ養殖現場で発生する被嚢軟化症は、深刻な被害が出る疾病である。本症の原因病原体は、2012年に新種の原生動物Azumiobodo hoyamushi(以下,ホヤムシ)であることが明らかになったものの、その基本的な生活史は不明な点が多い。本研究では、ホヤムシの生活史を明らかにするためにシスト形成の有無について調べた。
成果の内容・特徴 1.培養液中及び感染個体中のホヤムシは、紡錘形の虫体に2本の鞭毛を持って遊泳している。培養液中のホヤムシを人工滅菌海水中に移すと、11%が付着性で球形のシスト細胞になった(図1)。シスト細胞をTEMで観察すると、鞭毛が細胞内に収容されていた(図2)。マボヤ被嚢中の水溶性物質を海水にて抽出した被嚢抽出液をシスト細胞に作用させたところ、96.9%のシスト細胞が脱シストして再び遊泳を開始した(図3)。シスト細胞は水温10℃で3ヶ月後も脱シストした。観察されたシスト細胞は、細胞構造やシスト形成までの所要時間等から、一時シスト細胞であると考えられた。

2.被嚢軟化症は、夏に一旦収束した後、冬に再発することが知られている。このことについて、本研究結果から次のような感染環が推定される。感染したマボヤの病気が進行して被嚢が裂けると、内部で増殖したホヤムシが海水中に放出されるが、新たなマボヤに直ちに取り込まれなかったホヤムシは、シスト細胞となり水温の低い海底中で越夏する。秋に鉛直混合によって水温躍層が崩壊する際に、海底のシスト細胞もホヤ養殖の水深帯まで巻き上げられて新たな感染が起こる(図4)。
成果の活用面・留意点 ホヤムシの基本的な性質を解明したことで、感染環の一部が推察され、防疫対策を講じるうえでの重要な知見となった。
図表1 237502-1.jpg
図表2 237502-2.jpg
図表3 237502-3.jpg
図表4 237502-4.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5151&YEAR=2015
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