DNAマーカー分析によって明らかになった日本の養殖クルマエビの近交度

タイトル DNAマーカー分析によって明らかになった日本の養殖クルマエビの近交度
担当機関 (国)水産総合研究センター 瀬戸内海区水産研究所
研究期間 2013~2015
研究担当者 浜野かおる
発行年度 2015
要約 継代が重ねられた養殖クルマエビにおける近親交配の程度を調査するため、DNAマーカーを用いて近交度を分析した。養殖エビの近交度は全体的には天然エビと同程度であり、近親交配は顕著には進んでいないと考えられた。しかし、継代エビの一部の生産ロットの近交度は比較的高く、ヘテロ接合体率が低下している個体も検出された。このため、クルマエビ養殖では今後適切な遺伝的管理が必要と考えられた。
背景・ねらい 近年、日本のクルマエビ養殖では、ウイルス病予防の観点から人工養成親の活用が広がりつつある。しかし、親の養成に伴って毎年継代が進むことから、近親交配による遺伝的多様性の低下や、近交弱勢の発生が危惧されている。そのため、本課題では、マイクロサテライトDNAマーカーを用いて国内の養殖場のクルマエビの遺伝的多様性を分析し、近親交配の程度を調査することとした。
成果の内容・特徴 遺伝的多様性の分析は、国内の養殖会社3社から入手した4つの生産ロットにおいて行った。それらのうち、2社(A及びB社)は継代された親エビを、1社(C社)は天然の親エビを用いている。また、比較のため、大分県沿岸の2海域(国東及び豊後水道)で漁獲された天然クルマエビにおいても同様の分析を行った。

各ロット及び地域について、4つのマイクロサテライトDNAマーカーを用いて40尾のサンプルを分析した結果、遺伝的多様性の指標となる平均アリル数と平均ヘテロ接合体率は、養殖エビでそれぞれ16.8~18.0及び0.895~0.914、天然エビでそれぞれ27.8~29.8及び0.946~0.954であり(表1)、養殖エビは、天然エビに比べて低いものの、比較的高い遺伝的多様性を保持していた。また、ヘテロ接合体率に基づいて算出した近交度は、継代エビ、天然親由来の種苗及び天然エビにおいて、それぞれ0.090±0.077、0.006、及び0.017±0.038であり(表1)、全体として継代エビにおける顕著な上昇は観察されなかった。しかし、継代エビの一部のロット(A社及びB社-2)では比較的近交度が高く、ヘテロ接合体率が顕著に低い個体も検出された。(図1)。

これらのことから、養殖エビでは遺伝的多様性が低下しているものの、直ちに近交弱勢を引き起こすほどには近親交配は進んでいないものと考えられた。しかし、継代エビにおいて比較的近交度が高い事例が見られたことは、継続的な親養成によって近親交配が進む可能性を示唆しており、現在の遺伝的多様性の維持に向けた遺伝的管理の重要性を示しているものと考えられる。
成果の活用面・留意点 本課題の成果は、養殖クルマエビの遺伝的管理を検討する上で重要であり、持続的なクルマエビ養殖システムの確立に貢献するものである。
図表1 237522-1.jpg
図表2 237522-2.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5134&YEAR=2015
カテゴリ DNAマーカー

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