タイトル | LED光源を用いたマコガレイの行動制御 |
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担当機関 | (国)水産総合研究センター 水産工学研究所 |
研究期間 | 2014~2014 |
研究担当者 |
柴田玲奈 宇都康行 石橋賢一 矢田 崇 |
発行年度 | 2015 |
要約 | マコガレイの種苗生産の効率を上げるために、攻撃性を抑制し、成長を促進する光環境を明らかにした。本研究では光条件を変えてストレスの応答を比較するとともにマコガレイ稚魚の網膜運動反応(光に対する網膜の視細胞の反応)を調べた。その結果、緑色光では自然光よりストレスを低下させる可能性があり、また明順応度が高く餌等の視認性が高まると推察された。 |
背景・ねらい | マコガレイの種苗生産現場では飼育密度を高めると、高い割合で噛み合いによる尾鰭欠損を生じることが大きな問題となっている。尾鰭欠損は、遊泳に影響を及ぼすだけでなく、欠損部分で細菌が繁殖し、生残率にも悪影響を及ぼす。そのため噛み合い行動を抑制し健苗性を向上させる技術開発が求められている。そこで本研究では異なる波長の光を照射したマコガレイ稚魚のストレス応答を分析し、さらにそれぞれの色光下での網膜運動反応を調べ、光を用いた行動制御の可能性を示した。 |
成果の内容・特徴 | 159日齢(平均全長55mm)のマコガレイ稚魚に赤(660nm)・青(470nm)・緑(525nm)のLED光源(日進電子工業(株)製)を用いて光量子束密度10μmol/m2/sで3時間照射し、対照区(遮光した自然光)と併せて飼育した稚魚の血液を採取し、光に順応した状態のストレス因子指標物質として血中コルチゾル測定を行い、ストレス度合を評価した。供試魚の一部は暗順応個体とあわせてブアン固定し組織切片を作成することで網膜運動反応を評価した。以上の結果、青や緑LED照明下で飼育したマコガレイ稚魚の血中コルチゾル濃度は、自然光下で飼育した稚魚の同濃度より低かった(図1)。また赤・青色照明下では、網膜の明順応度は低下する傾向にあったが、緑色照明下では網膜の明順応度は低下せず、その相対値は自然光と同等であった(図2)。以上から、緑色光は噛み合い等の攻撃行動を抑制するとともに餌の視認性も維持できることが期待される。 |
成果の活用面・留意点 | 緑色光でマコガレイ稚魚の行動を制御することは噛み合い等の攻撃性を抑制し餌の視認性も低下させないことが期待できる。これにより高密度でも健苗性の高い種苗を効率的に生産することが可能になり、またLED灯が使用できれば、省エネ効果が期待できる。 |
図表1 | |
図表2 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5013&YEAR=2015 |
カテゴリ | 省エネ・低コスト化 繁殖性改善 光条件 |