タイトル | 広帯域計量魚探機を用いた海底付近の小型マアジの体長推定 |
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担当機関 | (国)水産総合研究センター 水産工学研究所 |
研究期間 | 2011~2015 |
研究担当者 |
澤田浩一 安部幸樹 今泉智人 松裏知彦 赤松友成 多賀悠子 |
発行年度 | 2015 |
要約 | 距離方向に高分解能という特徴を持つ広帯域魚探機を使用すれば、従来難しかった海底付近の魚類の体長測定の精度向上が期待できる。そこで、水産工学研究所の調査船たか丸(61トン)を用いて、広帯域音響データを収録しながら底びき網を実施し、音響データと曵網結果との比較を行い、これまで難しかった海底付近の魚の体長推定が可能であることを示した。 |
背景・ねらい | 水産資源を持続的に利用していくためには、新規加入資源のモニタリング精度の向上や、若齢魚に対する不必要な漁獲を行わないことが重要である。計量魚群探知機(計量魚探機)を用いて資源のモニタリングを行う手法(音響手法)は世界中で広く行われており、漁具を用いたモニタリングに比べ、広範囲を迅速に、また、連続的にデータ収録ができる、という点で優れている。一方で、距離分解能の物理的特性により、重要魚種の幼魚が非常に多く分布する海底付近の魚の検出には限界があった。広帯域計量魚探機は、従来の計量魚探機と比較して、広い周波数帯の音波を一度に送・受信して測定を行い、信号処理によって距離方向の分解能を高めることができる。これにより、従来計測しにくかった海底付近における魚類などの個体数や体長測定の精度を飛躍的に上げることができることが期待される。そこで、水産総合研究センター水産工学研究所の調査船たか丸(61トン)を用いて、広帯域計量魚探機で音響データを収録しながら底びき網を実施し、音響データと曵網結果との比較を行い、これまで難しかった海底付近の魚の個体識別・体長推定が可能であることを示した。 |
成果の内容・特徴 | 図1に示すように、従来の魚群探知機では難しかった海底付近の個々の魚を探知することができた。一尾の魚から返ってくる連続したエコー(エコートレース)をトラッキングし、トラッキングしたエコーの最大ターゲットストレングス(最大TS)から 体長と最大TSの関係式、TS = 20 log L -59.3 (L:尾叉長(cm))を用い、最大TSヒストグラム(図2)のモード(最頻値)-38 dBから推定した体長12 cm は、底曳き網により漁獲された体長のモード14 cm(図3)によく一致した。 |
成果の活用面・留意点 | 海底付近の単体および体長の推定精度が上がることにより、現存量推定精度の向上が見込める。 広帯域魚探機を漁船に搭載することにより、漁獲前に体長を推定することができるようになる。これは、不必要な若齢魚の漁獲を減らし、大型魚の選択漁獲につながり、ひいては、新規加入群に対する漁獲圧を減らすとともに、漁業収益を増やすことにつながると考えられる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5028&YEAR=2015 |
カテゴリ | モニタリング |