タイトル | 下痢性貝毒オカダ酸群の認証標準物質の開発 |
---|---|
担当機関 | (国)水産総合研究センター 中央水産研究所 |
研究期間 | 2014~2018 |
研究担当者 |
鈴木敏之 渡邊龍一 松嶋良次 石原賢司 今村伸太郎 長井敏 及川寛 |
発行年度 | 2015 |
要約 | わが国初の下痢性貝毒認証標準物質を産業技術総合研究所との共同研究により開発し、国内の貝毒検査に携わる84機関に配布した。この認証標準物質は平成27年度貝毒検査の国家標準物質として利用された。 |
背景・ねらい | 下痢性貝毒検査における公定法としてマウス毒性試験が利用されてきたが、平成27年3月から機器分析法が公定法となり、段階的な移行が始まっている。機器分析法による新たな公定法では、下痢性貝毒の認証標準物質の使用が義務付けられている。認証標準物質とは絶対量(濃度)に不確かさを付与した標準物質であり、貝毒の認証標準物質については、カナダのNational Research Councilが国家プロジェクトとして製造し、世界中に販売している。しかし、この標準物質は高価であり、在庫が切れることにより購入ができなくなる場合もある。わが国の貝毒検査体制が海外の標準物質に依存することにより、国内貝毒検査が滞ることが危惧される。本研究では、わが国初となる貝毒の認証標準物質を開発し、安定的に供給することにより、二枚貝産業の振興に資することを目的とする。 |
成果の内容・特徴 | Prorocentrum属やDinophysis属有毒藻類の大量培養により、下痢性貝毒標準品の原料を安定的に供給し、精製手法を高度化することにより、下痢性貝毒標準品を簡便かつ経済的に製造する技術を開発した。さらに、産業技術総合研究所との共同研究により、認証標準物質を開発し、カナダ製認証標準物質との比較において同等性等を確認し、国内の貝毒検査に携わる84機関に配布した。 |
成果の活用面・留意点 | 配布した下痢性貝毒認証標準物質は平成27年度の貝毒検査の国家標準物質として利用された。機器分析法を下痢性貝毒検査に導入することにより、旧公定法であるマウス毒性試験で問題となっていた偽陽性による規制が減少する。機器分析法による貝毒検査をいち早く導入した青森県ホタテガイ養殖においては、9月現在、下痢性貝毒による出荷自主規制状況が本年度の延べ数でゼロとなっており、ホタテガイ漁業者の収入は大幅に改善された。新たに導入された機器分析法による貝毒検査体制は、CODEX国際規格に基づく世界で最も進んだ貝毒検査体制である。この検査体制の普及により、ホタテガイ等の輸出促進にもつながることが期待されている。 |
図表1 | ![]() |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5177&YEAR=2015 |
カテゴリ | 出荷調整 輸出 |