タイトル | 実証研究のためのモデル選択規準 |
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担当機関 | (国)水産総合研究センター 増養殖研究所 |
研究期間 | 2011~2015 |
研究担当者 |
箱山 洋 |
発行年度 | 2015 |
要約 | 自然の構造の科学的証拠を得るためのモデル選択の規準を構築した。サンプルサイズが小さい場合、AIC は真のモデルの構造から遠いモデルを選ぶ傾向があり、科学的証拠としては弱点がある。近似による不一致は、サンプルサイズによらない真の分布と近似分布の乖離であることから、その推定量を科学的証拠のための規準として提案した。 |
背景・ねらい | 赤池の情報量規準(AIC)を検定の代用と考える誤用が広がっている。赤池自身は、AICは統計的モデル同定のための多目的な方法を提供するものであり、その目的とは予測・シグナル検出・パターン認識・最適化であると述べており(Akaike 1974)、AICで選ばれたモデルの構造が科学的証拠となるとは述べていない。自然の真の構造に近いモデルを選択する方法についてはこれまで十分な検討がなされていなかった。 |
成果の内容・特徴 | AICによるモデル選択は、必ずしも真のモデルの構造に近い近似モデルを選択する傾向を持つとは限らない。AICで推定するのは、サンプルサイズに応じたベストモデルであり、サンプルサイズが小さければ、真の構造から遠いモデルが選択される可能性が十分にある。サンプルサイズによらない基準として、ベストのパラメータを与えた場合のモデルの当てはまりの良さ、すなわち、近似による不一致が考えられ、その推定量をひとつの科学的証拠として利用することを提案した。そのような推定量のひとつとして次のLZC基準を与えた: LZC = - 2 L + p, ただし、Lは最大対数尤度、pはパラメータ数である。LZCはAICと良く似ているが、右辺第二項が 2pではなく、pとなっている(AIC = - 2 L + 2 p)。サンプルサイズが小さいとき、AICでは真の構造から遠いモデルが高い確率で選択される傾向があるが(図1)、LZCでは真の構造に近いモデルが選択される確率が比較的高く(図2)、望ましい性質を持っている。 |
成果の活用面・留意点 | 水産資源解析や生態学的データの解析において、AICは予測、LZCは検証に、目的に応じてモデル選択を正しく活用することにただちに応用できる。 |
図表1 | |
図表2 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5206&YEAR=2015 |
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