インド型多収水稲品種「北陸193号」の養分吸収特性とカリウムの還元法

タイトル インド型多収水稲品種「北陸193号」の養分吸収特性とカリウムの還元法
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2009~2015
研究担当者 吉永悟志
松村修
門倉綾子
大峽広智
本間利光
発行年度 2015
要約 「北陸193号」は収量が顕著に高いが、地上部重の増加や茎葉の成分濃度の増大により、窒素、リン、カリウムの吸収量が増加する。主要成分のなかでも、カリウムの吸収量が特に増加するが、20cmの高刈りにより吸収量の約40%を圃場に還元できる。
キーワード イネ、インド型、多収、土壌肥沃度、養分吸収
背景・ねらい 多収品種は普通品種と比較して収量性が顕著に高いことに加えて、養分吸収特性が異なると推察される。また、多収栽培では多量の生産物を圃場から持ち出すことになるため、多収品種の肥培管理技術の確立には養分吸収に関する品種特性の解明が必要になる。そこで、我が国の代表的な多収品種である「北陸193号」の養分吸収特性について、土壌肥沃度の異なる現地圃場において主食用品種の「コシヒカリBL」(以下、「コシヒカリ」)との比較による検討を行った。
成果の内容・特徴
  1. 多収品種の「北陸193号」は、「コシヒカリ」と比較して顕著な多収性を示し、地力の高い条件で多肥栽培を行うと800kg/10aを超える粗玄米収量を得られる(表1)。このとき、わら重や全重も顕著に増大する(表1)。
  2. 稲体の窒素、リン、カリウムの吸収量は土壌肥沃度にかかわらず、いずれも「北陸193号」で高まる(図1)。また、成分により部位別の分配率が異なり、窒素、リンは穂への分配率が高いのに対し、カリウムでは茎葉部への分配率が高い(図1、図2)。
  3. 「北陸193号」の稲体の成分濃度はコシヒカリと比較して、窒素、リン、カリウムいずれも茎葉での濃度が高く、また、カリウムでは茎葉への分配率が高いために稲体全体でも養分濃度が高まる(表2)。
  4. 窒素、リン、カリウムのうち、茎葉への分配率が高いカリウムでは、収穫時に約20cmの高刈りを行うことにより、吸収量の約40%を圃場に還元できる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 多収品種の連作条件における堆肥の活用や稲わらのすき込みなど、総合的な肥培管理の策定に重要な知見となる。
  2. 北陸193号の栽培適地は北陸以南であり、実証圃場は栽培適地の北限に位置する。
  3. 以下の試験条件で得られた結果である。
1)現地試験 2009~2012年 5月中旬移植
高地力:新潟県内A圃場(可給態窒素260mg/kg)、低地力:新潟県内B圃場(同60mg/kg)
施肥条件(成分量合計)
コシヒカリ:リン酸、カリは3kg/10a、窒素は高地力で無施用、低地力で5.4kg/10a
北陸193号:リン酸、カリは6kg/10a、窒素は高地力で14kg/10a、低地力で16kg/10a
2)場内試験(図2)
可給態窒素193mg/kg、 施肥:基肥5kg/10a(NPK)、穂肥4+4kg/10a(N)、粗玄米収量861kg/10aでの結果。
図表1 237632-1.gif
図表2 237632-2.gif
図表3 237632-3.gif
図表4 237632-4.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2015/narc15_s01.html
カテゴリ 水稲 施肥 多収性 肥培管理 品種

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