焙煎された茶に含まれる香気寄与成分

タイトル 焙煎された茶に含まれる香気寄与成分
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 2011~2015
研究担当者 水上裕造
発行年度 2015
要約 茶を焙煎すると、20成分がその香りに強く影響するようになり、特に4-mercapto-4-methyl-2-pentanone、2-ethyl-3,5-dimethylpyrazine、furaneolの3成分は茶の焙煎を表す重要な香気寄与成分となる。
キーワード 茶、焙煎、香気寄与成分、香気エキス希釈分析、GC-O
背景・ねらい 茶の仕上げ加工において、焙煎により特有の香ばしさとふくよかさが増し、青臭みが緩和される。茶の焙煎は消費地によって強弱があり、香ばしさが異なる。茶の品質管理や品質改善、さらに茶の用途拡大を試みる場合、焙煎程度の異なる茶の香りに関する成分を明らかにすることは重要である。 香りを解析する場合、ガスクロマトグラフィー-匂い嗅ぎ装置(GC-O)を利用した香気エキス希釈分析法が用いられる(2014年 普及成果情報)。これは香気エキスを数段階に希釈してGC-O分析し、匂い嗅ぎ測定者によって感じられる最大の希釈倍率をFlavor dilution factor(FDファクター)として求める方法である。FDファクターが大きい成分は薄めても感じられることから、匂いの構築に対して寄与度が大きい成分と考えられる。そこで、焙煎程度の異なる茶を用いて、香気エキス希釈分析により焙煎された茶の香りを解明する。
成果の内容・特徴
  1. 茶の仕上げ加工において篩と切断によって成形された原料茶「やぶきた」を回転ドラム(BAI-SEN、山益製作所)で焙煎し、茶表面温度100℃、115、130に到達したら取出すことで、異なる焙煎程度の茶を得る。それぞれ弱、中、強焙煎とすると、弱焙煎された茶は香ばしさが弱く原料茶の特性が活かされている。また、中焙煎された茶は香ばしさが認められ、さらに強焙煎された茶はほうじ茶を連想させる香りがある。
  2. 茶の焙煎により、20成分のFDファクターが増加する(表1)。中でも4-mercapto-4-methyl-2-pentannone (4-MMP)(肉様)、2-ethyl-3,5-dimethylpyrazine(2-EDMP)(香ばしい)、furaneol(甘い)の3成分は最も高いFDファクターで検出され、茶の焙煎を表す重要な香気寄与成分である。なお、4-MMPは茶のふくよかな香りを、2-EDMPは香ばしさを、そしてfuraneolは甘い香りを増強する。
  3. 青葉の香りがある(Z)-3-hexenalと茶の青臭みに関与すると考えられている(E,E)-2,4-heptadienalの2成分は焙煎により低いFDファクターで検出される(表1)。
  4. 焙煎による香りの質的な変化を把握するため、アロマプロファイルを作成すると、甘い、果実様、グリーン、香ばしい、スパイシー、土臭い、花様、肉様の匂いがある成分の影響が焙煎によって強くなる(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 原料茶は一番茶であり、市場で多く流通するものの中で、高品質である。
  2. 茶200 gから減圧蒸留と高真空蒸留により香気エキス0.1 mLを得て、ジクロロメタンで10倍、100倍、1000倍、10000倍に希釈してGC-O分析し、FDファクターを求める。ただし、感覚量は刺激量の対数に比例することから、表中および図中のFDファクターは10を低とした指数で表す。
  3. 香気寄与成分は異なる極性の分離カラムを用い、匂いの性質、保持指標、マススペクトルを標準物質と比較して特定する。入手困難な標準物質は合成により得る。
図表1 237671-1.gif
図表2 237671-2.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/vegetea/2015/vegetea15_s25.html
カテゴリ 加工

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