北関東におけるエリアンサスの乾物収量と養分収支

タイトル 北関東におけるエリアンサスの乾物収量と養分収支
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2009~2015
研究担当者 松波寿弥
小林真
安藤象太郎
寺島義文
霍田真一
佐藤広子
発行年度 2015
要約 北関東におけるエリアンサスの乾物収量は最も多収の系統・施肥量では4年目に41t/haに達する。窒素・リン酸・カリ各90kg/haの施肥量でも高い乾物生産性を示すが、乾物収量が多い系統や栽培条件では窒素及びカリの収奪量が増大する。
キーワード エリアンサス、乾物収量、養分収支
背景・ねらい バイオ燃料技術革新計画(2008年策定)及びバイオマス活用推進基本計画(2010年閣議決定)に基づいて、食料と競合しない原料作物の研究開発が進められており、長期的多収性や燃料特性(低灰分・高発熱量)の面からイネ科多年生草本エリアンサス(Erianthus arundinaceus)が注目されている。エネルギー作物の有力候補とされる多年生イネ科植物の多くは低投入で高いバイオマス生産性を示すものの、土壌からの養分収奪量が施肥量よりも多くなる事例も報告されている。実規模生産における適切なエリアンサス栽培条件を検討するため、系統・栽培条件を異にするエリアンサスの乾物収量と養分収支を定植後4年間にわたって明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 畜産草地研究所(栃木県那須塩原市)において2009年6月9日に栄養系で定植したエリアンサス3系統「JW630」・「NS1」・「NS2」の乾物収量は、1年目は0.9~3.8t/haと少ないが、2年目以降にはいずれの系統も15t/haを超え、最も多収の「JW630」では4年目に38~41t/haに達する(表1)。
  2. 同じ施肥水準で比較した乾物収量は、2年目までは疎植(2500株/ha)に比べ密植(5000株/ha)の方が多いが、3年目以降は同程度になる(表1)。
  3. 同じ栽植密度で比較した乾物収量は、窒素(N)、リン酸(P2O5)およびカリウム(K2O)の年間施用量がそれぞれ90kg/haと180kg/haの条件で比較すると、増施の影響を受けない(表1)。
  4. エリアンサスは少ない施肥でも高い乾物収量を示すが(表1)、窒素(N)およびカリウム(K)では、乾物収量が多くなるにつれて収奪量が施肥量を上回るようになる(表2)。施肥量は乾物収量に応じて、すなわち、定植後の経過年数や系統の多収性に応じてより多くする必要がある。
成果の活用面・留意点
  1. エリアンサスは肥料以外の給源(主に土壌)からの窒素獲得能が高いことが明らかになっており、これが少ない施肥量でも収量が低下しにくい一因と考えられるが、持続的生産のためには、収量が多くなる3年目以降について養分収支に基づいた適切な施肥基準の検討が必要である。
  2. 冬季の立毛乾燥に伴う養分循環を前提としたデータに基づくため、立毛乾燥前の収穫や、立毛乾燥しない熱帯・亜熱帯地域では、養分収奪がさらに大きくなる可能性がある。
図表1 237703-1.gif
図表2 237703-2.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2015/nilgs15_s28.html
カテゴリ 肥料 亜熱帯 乾燥 栽培技術 栽培条件 施肥 多収性

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