バレイショの畝間リビングマルチ栽培は一部のゴミムシ類の生息数を増やす

タイトル バレイショの畝間リビングマルチ栽培は一部のゴミムシ類の生息数を増やす
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2010~2015
研究担当者 髙篠賢二
小西和彦
発行年度 2015
要約 バレイショの畝間にエン麦野生種をリビングマルチとして栽培すると、慣行栽培と比較して広食性の天敵として期待されるキンナガゴミムシなど一部のゴミムシ類の生息数が増加する。
キーワード バレイショ、リビングマルチ、エン麦野生種、天敵、ゴミムシ
背景・ねらい 施設園芸などの集約型農業においては生物農薬としての天敵昆虫等の利用技術の開発が進み、普及しつつあるのに対して、土地利用型農業での天敵利用技術の開発は遅れている。リビングマルチ(以下LM)は主作物の畝間等に収穫を目的としない被覆植物を栽培する方法で、雑草抑制、土壌の浸食・流亡防止、緑肥、天敵相の強化などの様々な目的で導入されている。そこで、バレイショにおけるLM導入が広食性の捕食性土着天敵として期待されるゴミムシ類の生息数に与える影響を評価する。
成果の内容・特徴
  1. バレイショ(品種「はるか」)を5月上旬に植え付け、早期培土後、畝間にLMとしてエン麦野生種「ヘイオーツ」を15kg/10a相当、5月下旬に播種して栽培する。エン麦野生種はバレイショの畝間で十分に生育する(図1)。
  2. バレイショ圃場におけるピットフォールトラップ調査では、多種多様なゴミムシ類(9亜科49種)の生息が確認される(表1)。
  3. 多くの種の生息数はLM栽培による影響を受けないが、肉食性の強い広食性の捕食性土着天敵であるキンナガゴミムシ(図2)など一部のゴミムシ類は、LM栽培をすることで生息数が慣行栽培と比較して増加する(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 採集されたゴミムシ類のリストは生物多様性に関する研究等に活用できる。
  2. この情報は北海道札幌市の北海道農業研究センターでおこなわれた試験結果に基づくものである。地域や周辺環境によってゴミムシ類の種や生息数が異なる他、年次による変動も考えられる。
  3. ゴミムシ類の多くは雑食性である。その食性は肉食傾向の強いものから草食傾向の強いものまで様々であるとともに、生息環境にも影響される。マルガタゴミムシなどはダイコンやイチゴの害虫となることがあり、トンネル栽培などでは被害が助長される傾向にある。
  4. キンナガゴミムシは他種と異なり畝上のトラップで多く捕獲される傾向にある。捕食のために植物体に登る性質のある種などはトラップの設置場所により捕獲傾向が異なるため、調査の際は設置場所にも留意する。
図表1 237798-1.gif
図表2 237798-2.gif
図表3 237798-3.gif
図表4 237798-4.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2015/harc15_s16.html
カテゴリ 病害虫 いちご えん麦 害虫 雑草 施設園芸 だいこん 天敵利用 土着天敵 農薬 播種 ばれいしょ 品種

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