ひずみを指標とした強化プラスチック複合管の安全性の診断手法

タイトル ひずみを指標とした強化プラスチック複合管の安全性の診断手法
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究部門
研究期間 2012~2016
研究担当者 有吉充
毛利栄征
硲昌也
久保田健藏
発行年度 2016
要約 地中に埋設された強化プラスチック複合管(FRPM管)の局所的な変形や破壊に対する安全性を定量的に診断する手法である。曲率測定装置により計測した曲率からひずみを計算し、診断表を参照することにより、対策の要否を判定できる。
キーワード 強化プラスチック複合管、ひずみ、安全性、性能照査、長期強度
背景・ねらい 地中に埋設されたFRPM管は土圧を受けて変形しており、従来は、図1に示すFRPM管全体の変形の程度(たわみ量)を計測して、安全性を診断している。しかし、地下水や地盤沈下などの影響でFRPM管周辺の土が不均一になった場合に、FRPM管全体は変形しなくても、局所的に変形してひび割れが発生し漏水に至ることがある。そのため、FRPM管全体の変形を測定するだけでは、安全性を正確に診断することはできなかった。 そこで、図1に示すように複数の位置にて、曲率測定装置を用いて曲率を計測しひずみを求めることにより、局所的な変形に対するFRPM管の安全性を診断する手法を開発する。パイプの口径毎に曲率測定装置の適切なベースの長さを提示する。また、FRPM管の長期強度試験を実施して、安全性を簡易かつ適切に評価するための診断表を提案する。
成果の内容・特徴
  1. 本診断手法では、図2(a)及び(b)に示すように、曲率測定装置のベースの両端をFRPM管の内面から押し当て、ベースの底面から管の内面までの距離dを計測して、曲率を求める。次に、曲がり梁の曲率と曲げモーメントの関係などを用いて、曲率からひずみを計算する。最後に、測定したひずみの値を表1の診断表に示す閾値と比較することで、FRPM管の安全性を定量的に診断できる。
  2. 曲率測定装置のベースの長さが短すぎると測定誤差が大きくなり、長すぎると局所的なひずみが捉えられなくなる。800mm~2,400mmの4種類の口径のFRPM管を対象に実施した本診断手法の検証実験の結果から、口径毎に表2のようにベースの長さを設定することにより、FRPM管のひずみを適切に測定できる。
  3. 図2(c)の現場測定例に示すように、管頂・管側・管底などの計10点でひずみを測定することにより、管底で4,000μを超えるひずみが発生しているなど、管の変形を詳細に把握できる。現場ではdを計測するだけであり、容易に本診断手法を適用することができる。
  4. 表1の閾値は、FRPM管の長期強度に関する試験(長期極限曲げひずみ試験ISO10471)の結果等から設定している。例えば、6,000μ以上では新管による敷設替えや管路更生を行う必要があると診断できる。なお、今回実施した試験から得られたFRPM管の長期的な破壊ひずみは9,333μである。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象: FRPM管を管理している国、都道府県、土地改良区
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等: 全国を対象としており、これまでに5地区で利用された。行政施策に反映される指針への掲載を想定している。
  3. その他: 本技術は口径800mm以上のFRPM管を対象としている。また、表1の診断表は、国営施設だけで約600km敷設されているフィラメントワインディング成形のFRPM管を対象としており、遠心力成形管についても実施検討を進めている。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nire/2016/16_052.html
カテゴリ 診断技術 ワイン

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